珊瑚礁の起源とグレートバリアリーフについて!

オーストラリアは有名な文化遺産や自然遺産が数多くあり、ツアーやダイビングなどの観光スポットに恵まれています。そのうちの一つにグレートバリアリーフがあります。

珊瑚礁の起源とグレートバリアリーフの画像

個々の珊瑚は成長しながら珊瑚礁を築き次第に拡大していきます。

グレートバリアリーフはそうしてできた無数の珊瑚礁の群れが存在する広大な珊瑚礁の海域です。この珊瑚礁はどんな起源があるのでしょうか。

今日は珊瑚礁の起源とグレートバリアリーフについて調べてみました。

はじめに珊瑚礁を構成している珊瑚について解説します。

珊瑚とは

珊瑚はれっきとした生き物です。海中に生息する植物とか石灰質の鉱石とは違います。

クラゲやイソギンチャクと同類の刺胞動物に属しポリプと呼ばれる身体の構造をしており、固着して触手を広げてプランクトンを食べたり、産卵をして増殖します。

「単体性」と「群体性」に分類されます。単体性は宝石と呼ばれる種類で、深海に単体で生息します。群体性は「造礁性サンゴ」とも呼ばれ浅瀬で珊瑚礁をつくります。

「造礁性サンゴ」は褐虫藻を体内に住まわせて、藻が光合成で生成する二酸化炭素を取り込んで酸素を生成します。光の強い浅い海域に生息し生育が早く、藻類と共生することに特徴があります。

珊瑚礁とは

珊瑚礁は群体性珊瑚の群れにより形成された地形のことです。

熱帯の水深20~30mほどの深さの外洋に面した海岸に沿って広い範囲で見られます。

プランクトンを食べ、藻類と共生しながら分裂・増殖を繰り返してゆき海水中の CO2やカルシウムを取り込み、炭酸カルシウムから成る骨格をつくり続けます。

珊瑚礁の下は厚い石灰岩の層が積み重なり、珊瑚自体は、外に、上にと成長していくことから長い年月の間に地形を大きく変えていきます。

珊瑚礁は拡大していくなかで、プランクトンなどの食べ物や住処になる場所を無数につくるため沢山の海洋生物が集まって産卵し、住み着きます。

こうして珊瑚礁は多種多様な海洋生物を抱える巨大な生態系を構成します。

それでは珊瑚礁で有名な海域、グレートバリアリーフについて解説します。

グレートバリアリーフとは

グレートバリアリーフは珊瑚海に面したオーストラリア北東部の沿岸一帯の海域のことです。以下の場所に存在します。

マップの珊瑚海に面するオーストラリアの沿岸(ケアンズ、タウンズビル、マッカイの辺り)を拡大していきますと珊瑚礁が沿岸に多数の白い点々として確認できるかと思います。更に拡大していくと各リーフの名称が読み取れます。

総面積は344,000km2以上もある一大珊瑚礁地帯で、その海域には3,000に近い珊瑚礁群と900を超える島々を内包しています。

無数の多様な海洋生物が集まる一大生態系をつくっています。

このグレートバリアリーフの珊瑚礁はいつ頃に誕生したのでしょうか。

珊瑚礁の起源は?

グレートバリアリーフの珊瑚礁の起源を知ることで、世界各地に散在する珊瑚礁に関してもそれぞれの起源を考察する際の目安となるかと思います。

グレートバリアリーフの地層について、50万年前の珊瑚骨格による鉱床が見つかっており、グレートバリアリーフ海洋公園管理局 (GBRMPA) によると60万年前頃から珊瑚礁の土台が築かれ、現在の珊瑚礁はその土台の上に約2万年前から形成されたのではないかとの見方をしています。

珊瑚礁は「万年」という想像もつかない遠い昔に海中で珊瑚が活動し、成長して土台を築き、誕生したわけです。

グレートバリアリーフが世界最大規模とされていますが、その他の世界有数の珊瑚礁、沖縄、ミッドウェー環礁国立自然保護区、インド洋セーシェル諸島等の珊瑚礁の起源もグレートバリアリーフに準じて考えられるかと思います。

これらの珊瑚礁も各国企業や大学等によりさまざまな角度から情報の収集や調査、研究が行われています。

ではこの珊瑚礁は自然界にどのような役割を果たしているのでしょうか。

珊瑚礁が果たしている役割

珊瑚は藻類と共生しながらそれらの養分を吸収・消化し、体外に分泌することで他の小さな生物を養っています。

そのため多くの多様な生物が珊瑚礁に集まってきます。珊瑚礁はこうして無数の海洋生物に食べ物と住み家、産卵場所を与えて生態系を支える役割を果たしています。

更に、珊瑚は CO2を取り込むために海水の CO2濃度を調節する役目も果たしています。

海水の CO2濃度のバランスが崩れると海洋生物には重大な影響が及びます。それをうまく調整しているのが珊瑚礁であり、その広大な海域は多くの海洋生物の安全な住処となっています。

その他に、珊瑚礁はリーフを構成するので海底の強い潮の流れや高波を緩和する役目も果たしています。そのため珊瑚礁の海域は波が静かでダイビングやシュノーケリングには絶好の観光スポットになっています。

しかしこのような珊瑚礁にも脅威が存在します。

珊瑚礁を脅かす問題点

さまざまな脅威がありますが、やはり海水温暖化現象による珊瑚の死滅が一番懸念されているようです。

海水温暖化による白化現象
白化現象は死滅した珊瑚が白く見える現象です。原因は海水の温暖化にあります。

海水の暖かい状態が長く続くと、珊瑚が共生している褐虫藻が体内から脱出してしまい珊瑚は取り込むべき養分を失い、死滅します。死んだ珊瑚は色を失い白く変色します。

この現象はオーストラリアのみならず、カリブ海や沖縄近海など世界中で発生しています。

環境汚染によるダメージ
農場で過剰に使用される化学肥料や殺虫剤による毒素が河川の熱帯性洪水により、海水に流れ込み珊瑚礁がダメージを受けます。

これについてオーストラリア政府も規制を強化するなど対策を講じています。

オニヒトデによる侵食
オニヒトデは珊瑚のポリプを食べます。これが大発生すると珊瑚は大きな被害を被ります。大発生の原因は水質の低下と、人間によるヒトデの天敵の乱獲が指摘されています。

船舶事故などの人災
珊瑚礁はいわば暗礁の集合体であり、もともと船舶の航行は難しい海域です。グレートバリアリーフで判明しているだけでも1600件もの座礁事故が確認されています。

珊瑚礁に長い大きな傷跡を残したり、はては原油を流出したりといった事故も起きています。

おわりに

想像もつかない遠い昔に長い年月をかけてグレートバリアリーフのような壮大な自然遺産が作られました。

オーストラリアにはこの他にも多数の貴重な遺産があり、その大部分はユネスコに登録されています。

これらの登録物件のうち、世界遺産としての意義を揺るがすような脅威にさらされている物件は「危機にさらされている世界遺産」とされ、いよいよ危機遺産と認定されると「危機遺産リスト」に加えられるそうです。

グレートバリアリーフもいくつかの危機に直面しています。

万一珊瑚の絶滅のような可能性が発生したら、何が何でも知恵を絞って問題を解決しなければなりません。

貴重な自然遺産を後世につないでいくことは現代人の責務と考えます。