ドリアンの臭いの成分を調べてみました!

先日、東南アジアの空港でドリアンという熱帯原産の果物が話題になりました。

大量のドリアンを積載した旅客機がドリアン特有の強烈な臭いを放ち、乗客が搭乗を拒否する騒ぎになりました。結局、航空会社はドリアンを機外に降ろすことにして1時間遅れで飛び立ったそうです。

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このドリアンとはどういうものなのか調べてみますと、ホテルや公の場所では持ち込み禁止とされているようです。同時に不老長寿の果物だという話もありました。

なんとも不思議な果物だと思います。

今日はドリアンという果物と、その臭いの成分を調べてみました。

ドリアンとは何ですか?

ドリアンの外観はパイナップルに似ていますが、1個の果実は外皮を剥ぐと4区画ほどに分かれていて、それぞれに果肉が2~3個程詰まっています。果肉は大きな種子を包み込んでおり、種子の周りが可食部となります。

可食部は少なく独特の臭いを放ちますが、重厚なクリーム状で強い甘みがあり、人によっては病みつきになるようです。

何よりもその栄養価は素晴らしく、5大栄養素をバランスよく豊富に含んでいます。特に葉酸などの造血ビタミンやビタミンCをはじめリン、マグネシウム、カリウム、鉄分などミネラル分も豊富です。

これらは体の機能を維持し、血液を作り、代謝を促進し血行を良くします。このため貧血気味の人やアンチエイジングに励んでいる人には好ましい果物と言えます。

現地のドリアンの評価はどうですか?

ドリアンは東南アジアのマレー半島が原産であり、わかっているだけでも30もの種が存在します。

原産地でもドリアンについては肯定派と否定派の2つの両極端な評価が対立しています。否定派の根拠はもちろんあの強烈な臭いにあります。

そのためドリアンは、「悪魔」や「魔王」、或いは「王様」といったキーワードと関連付けられている本当に不思議な果物です。

東南アジアでは基本的に公共施設やホテル、レストランなどでは持ち込みが禁止されているのが普通のようです。

また航空輸送上では危険物には指定されていませんが、海外に持ち出そうとする際に手荷物検査の段階でストップがかかることはあり得るようです。

ドリアンの臭いの元はなんですか?

ドリアンの放つ強烈な臭いの発生システムに研究者としての好奇心が刺激されるせいか、ドリアンは世界の先進的な研究者の間で関心を引き、研究対象となっています。

ドリアンの臭いの成分には26種類の揮発成分と8種類の硫黄化合物の存在が確認されています。そして核となる硫黄化合物の一つにさまざまな臭いの成分が複雑に関わり合ってドリアンの臭いが醸し出されているそうです。

ドリアンの臭いの元は硫黄化合物だったわけです。しかしその成分もすべてが解明されたわけではありません。

2017年12月、シンガポールの「国立がん研究センター」の研究チームは、ドリアンの臭いの発生を制御する一連の遺伝子情報を解明したことを発表しました。

この研究成果により、将来的には臭いを発しないドリアンを開発、生育することが期待でき、ホテル内や公共施設などでも自由にドリアンを「王様の果物」として持ち運べることになります。

素晴らしい発見ですが、ドリアンにはさらなる研究が望まれます。

まとめ

謎の多い果物ドリアンのお話でした。

最後に気づいたのですが、ドリアンのこの臭いは第七の栄養素とされるファイトケミカルであるフィトンチッドの一種ではないかとふと思いました。

フィトンチッドは樹木から発散される「森林の癒やしの香り」のことで揮発性の物質です。殺菌力や代謝作用と共に精神面に不思議な安らぎと活力をもたらす森林の香り成分です。

ドリアンと比較すると香りの質があまりにも違いすぎますが、ファイトケミカルについては、つい最近栄養素として認識されだしたばかりで、まだまだ未解明な部分が多すぎます。

ひょっとするとドリアンのすさまじい臭いから画期的な医薬品など、新たな薬理上の発見がなされるかも知れません。今後の研究が待たれます。