オミクロン株の特徴と脅威とは……、現行のワクチンは効果があるの?

新たな新型コロナウイルスの変異株、オミクロン株が発生しました。

変異株オミクロン株ウイルスのイメージ画像

日本ではコロナ禍がようやく小康状態になったところに、既に2例目のオミクロン株による感染例が見つかっています。

コロナウイルスの変異はごく普通に発生しますが、このオミクロン株は特に恐れられているようです。WHOではいち早く「懸念される変異株(VOC)」に指定しました。

本稿ではオミクロン株とはいつどこで発生したのか、どのような特徴を持つ変異株なのか、また現行のワクチンは効果はあるのかどうか分かりやすく調べてみました。

オミクロン株はいつから

WHOによると、オミクロン株が南アフリカで初めて確認されのは11月9日採取の検査サンプルからでした。専門的な名称は「B.1.1.529」。これまでの変異株よりも遙かに多くのスパイクタンパク質の変異が確認されています。

そのため強い感染力、免疫システムからの逃避能力の向上などの可能性が指摘されています。その他、感染後の重篤度等については詳細には判明していません。

これが12月1日時点で既に、南アフリカだけでなく、その隣のボツワナ、EU諸国、オーストラリア、イスラエル、日本、香港など世界23ヵ国で感染者が確認されています(WHO発表)。

脅威的な感染力を持つ変異株と言えましょう。次にこのオミクロン株にはどのような特徴があるのでしょうか。

オミクロン株の特徴

これまでに判明しているオミクロン株の特徴はスパイクタンパク質の変異が30ヵ所以上もあることです。あの強い感染力を持つデルタ株でも8ヵ所程度とされています。

ウイルスのスパイクタンパク質はウイルスがヒトの細胞内に侵入することを手助けする働きをします。この変異数からデルタ株以上に、ヒトの細胞に侵入しやすく、更にヒトの免疫システムから回避しやすく変異した可能性が指摘されています。

さらにオミクロン株はワクチンを2回接種していても感染しています。日本で確認されたオミクロン株感染者の2件の例では、共にワクチンを2回接種済みの男性でした。

こうした特徴を持つオミクロン株は脅威となっています。

オミクロン株は脅威?

最初の発生地、南アフリカの現状はデルタ株に取って代わりオミクロン株が凄まじい勢いで主流になっています。

オミクロン株の脅威はその強い感染力への懸念が挙げられます。

これは少し前にデルタ株が従来株に取って代わり世界中で感染拡大をした状況を彷彿とさせます。現在オミクロン株は、従来株よりも遙かに強い感染力を持つデルタ株をしのぐ程の勢いで拡大しています。

EUの欧州疾病予防管理センター(ECDC)も、「感染者が急増する南アフリカの初期データに基づけば、デルタ株と比べかなりの増殖優位性を持つ可能性」を強調しています。

こうした脅威の背景には、現時点ではオミクロン株についての詳細なデータがまだまだ不足していることがあるのではないかと思われます。

オミクロン株とワクチンの効果

ワクチンはあらかじめ体内にウイルスに対する免疫を作っておいて感染を防止すると共に感染しても重症化を防ごうとする試みです。

ワクチンの効果については以下の点は記憶しておかなければなりません。

  • ワクチンの予防効果は100%ではない
  • オミクロン株などの新たな変異株に対しては、現行のワクチンの有効性が低下することは十分にあり得る
  • ワクチンによる免疫効果は時間とともに低下していく

こうした点を踏まえると現行のワクチンでは、これまでのデルタ株には効果があっても、オミクロン株には限定的な効果しかなかったり、最悪なケースでは現行のワクチンでは対応できないことも起こるわけです。

この場合、新たな変異株ウイルスの詳細な分析データを確保し、その変異株ウイルスに有効なワクチンの製造が求められます。

アメリカ製薬大手のファイザーは、100日以内の完成を目途に「オミクロン株」に対応したワクチンの製造に着手したことを公表しています。

ロシアもまた「スプートニクV」を改良してオミクロン株に対応したワクチンの開発を45日間で完成させると発表しました。世界各国もこの流れに追随するものと思われます。

おわりに

オミクロン株についてはその挙動や毒性などの詳細はまだ判明していません。

現時点での懸念は感染力の強さがデルタ株を上回るのではないかということです。

WHOは11月26日、オミクロン株を警戒レベルが最も高い「懸念される変異株(VOC)」に指定しました。南アフリカで最初にオミクロン株が確認されてから1ヶ月も経っていません。

日本政府もすかさず「外国人の新規入国を原則停止する」対策を講じました。これについてはWHOなどに批判されることになりますが、すばやい水際対策として評価に値するのではないでしょうか。