「母の日」の誕生の由来とそれにまつわる悲しい結末!

毎年5月の第2日曜日が「母の日」とされています。

実はこの「母の日」は世界各国にあり、その起源は国によって異なり日付も違います。

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ただし世界の先駆けとされている「母の日」は19世紀のアメリカが起源であり、日本においてもその由来が紹介されて、日付もアメリカに倣っています。

この「母の日」とはどのような経緯で誕生したのでしょうか。

このあたりの由来についてリサーチしてみますと、なんとも悲しい結末を垣間見る事になりました。

本稿では「母の日」の誕生の由来とそれにまつわる悲しい結末についてお話していきます。

「母の日」が誕生するまで

「母の日」の誕生の由来をお話するには、アメリカ人のアンナ・ジャービスという女性をご紹介しなければなりません。この人が自分の母を記念する日である「母の日」を作ろうと活動しました。

彼女は20世紀初頭にアメリカのウエストバージニア州に住んでいた人で、お母さんを大変崇拝していました。

お母さんの名前はアン・ジャービスといって敬虔なクリスチャンでした。当時のウエストバージニア州は医療水準も低く、衛生環境も劣悪な地域でした。

アンは非常に活発な女性で、こうした環境を改善しようと「Mother’s Day Work Club」というボランティア団体をつくり献身的に教育や医療活動に努めました。

やがて南北戦争が始まると彼女の団体は俄然注目を浴びることになります。

彼女の住んでいるウエストバージニア州ウェブスターという地域は南軍、北軍ともに交錯し傷病者が運ばれて来ました。衛生環境の悪さから、はしかや腸チフスといった感染症も流行りました。

彼女は一歩もひるむことなく南軍も北軍も区別なく平等に救いの手を差し伸べました。彼女のこうした活動はやがて全米の知るところとなります。

彼女は南北戦争終結後も戦死者や負傷者のお母さん達と一緒になって、この地域で戦後のメンタルケアや教育・啓蒙活動を続け、1905年5月9日に他界しました。

こうした母の背中を見て育った娘のアンナは母に対して大きな尊敬の念を抱きました。

母の死後、娘のアンナは母に対する敬愛と尊敬の想いが忘れ去られることのないようにと、自分の母のための記念日を作ろうとする活動を始めます。

こうした活動は支持者が次第に増えていき1914年に、アメリカ連邦議会で5月の第2日曜日を「母の日」とする法律が正式に可決されることになり、アンナの活動は実ったのでした。

「母の日は」このような経緯で19世紀のアメリカで誕生しました。

娘・アンナの悲しい晩年

娘のアンナは母親譲りの積極的で活動的な一面を受け継ぐと同時に、融通の効かない頑固な一面もあったようです。良く言えば信念を曲げずに貫き通すという性格です。

アンナにとって、もともと「母の日」は自分の母親のアン・ジャービスを祝うはずの日でありました。

それがいつの間にかよその家の母を祝う日となり、「母の日」が全米で催されるようになるとコマーシャリズムが入り込み、カーネーションや菓子類などを贈ることが主体のお祭り騒ぎに変わってしまいました。

アンナはこうした風潮に腹を立て「母の日」を本来の姿に戻そうと活動を始めます。結果的にあちらこちらで揉め事を起こします。ある時には「アメリカ兵士の母の会」という団体が「母の日」を利用してカーネーションを販売して資金集めをしているとして、押しかけて騒動を起こしたりもしました。

やがて時が経ち、アンナは母親アンから受け継いだ多額の相続資金もこうした活動のために使い果して、心身共にボロボロになって療養所で生涯を終えました。

「母の日」の由来にはこのような悲しい結末もあったのです。アンナが今少し融通の効く性格であったらと、思わずにいられません。

なぜカーネーションなのか

現在においても母の日の贈り物の定番はカーネーションとされているのはどうしてでしょうか。

これについては以下のことが関係していると思われます。

●カーネーションは花言葉として「母の愛」「純粋な愛」であること
●母のアン・ジャービスが他界されたのが5月であること
●「母の日」がアメリカで5月の第2日曜日と正式に制定されたこと
●カーネーションは5月の誕生花であること
●娘のアンナが母の他界後、教会で母の日を祝った時に参加者に母が好んだ白いカーネーションを贈ったこと

以上のことから母の日とカーネーションが結び付けられ、今日に至っているのではないでしょうか。

おわりに

今回は「母の日」の誕生の由来とそれにまつわる悲しい結末についてざっと解説して参りました。

今日では様々な色のカーネーションが出回っています。贈る際にカーネーションの色で迷うこともあるかもしれません。

本稿のおわりとして参考までにカーネーションの色の意味合いを以下に挙げます。

白   →「尊敬・純粋な愛情」
ピンク →「母への感謝」
赤   →「母への愛情」
青   →「永遠の幸福」

なお、どうしても色で迷うようでしたら、お母さんが一番好きな色のカーネーションを贈るのが良いでしょう。但し、黄色は避けた方が無難です。「軽蔑」とか「裏切り」を意味します。

お母さんへの感謝の想いは自らの言葉できちんと伝えることが大切です。