周囲の視線が怖い…、パニック障害は早期治療で克服できるんです!

パニック障害というあまり聞き慣れない心の病があります。

家から外に出るのは不安である。自分に対する周囲の視線が怖い。満員電車に乗ろうとする時に身体が硬直して電車に乗れない。

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程度の差こそあれ、大部分の人はこのような経験をお持ちではないでしょうか。そしてこのような身体の反応をストレスや疲労からくる一時的な現象だと思い込んではいないでしょうか。

このような症状は誰もが体験しており軽視されがちですが、繰り返し起こるようならパニック障害の初期症状かも知れません。悪化すると日常生活に支障をきたすようになります。パニック障害は早期治療で克服できるんです。

本稿はパニック障害について、その症状と原因、及び治療法について分かりやすくまとめてみました。

パニック障害とは

パニック障害という言葉が使われ始めたのはつい最近のことです。

不安障害」の一つで、現在感じている「不安感」を理性的にコントロールできず、それは次第に増幅していき、「恐怖感」に変わり、その恐怖感を避けようと煩悶することから日常生活に支障をきたしている症状を言います。

こうした強烈な不安感、恐怖感は身体的に「パニック発作」として発症します。どのような症状がおこるのでしょうか。

パニック障害の症状とは

パニック障害の発作は、激しい鼓動、息切れ、悪心、めまい、発汗、冷や汗、手足の震え、歩行困難などの症状として現れます。これらはいきなり突発的に起こることに特徴があります。

体験者によると発作時は「このまま死んでしまうのか」と思う程に凄まじい不安感と恐怖感が伴うそうです。

このような「パニック発作」を繰り返した後、次第に発作が起こったらどうしようという「予期不安」の症状に取り憑かれ、更に人の多くいる場所には予期不安のために行けなくなる「広場恐怖」の症状になります。

症状がここに至ると外出もできなくなり社会生活上、支障をきたします。

パニック障害に似た症状を呈する不安障害に「社会不安障害(SAD)」がありますが、これは「大勢の人の前で」という特定の条件のもとで、「声が震えて話せない」という決まった症状が出るわけで、パニック障害の場合は、基本的になんの前触れもなく、どんな症状が起こるか分からないといった点で異なります。

ただしパニック障害にも「人混みの中」とか、「電車の中」など特定の条件が症状に繋がる場合もあります。「外出恐怖」や「空間恐怖」の症状がそれです。

パニック障害の原因は?

パニック障害の原因ははっきりと解明されているわけではありませんが、最近の研究では脳内ホルモンのバランスの崩れが原因とされています。脳内ホルモンとは脳内にある神経伝達物質のことで、50種類以上が確認されています。

すなわち精神安定作用を持つ幸せホルモン、セロトニンの作用よりもその反対の、怒りや興奮を司り、血圧や心拍数を挙げる作用をする闘争ホルモン、ノルアドレナリンが優位に立った状態が続くことによりパニック発作が引き起こされるということです。

ではそのようなアンバランスを引き起こす要因として一番大きく関与していると思われるものから順番に挙げていきます。

性格的要因
繊細で細やかな気遣いの出来る人、責任感の強すぎる人、また生来の怖がり屋さんや神経質な人がパニック障害になりやすい人とされています。

またこのような細やかな気遣いを要求されるような仕事に就いている人、バラエティ番組の司会者やアイドルグループ、ニュースキャスターなども同様にパニック障害になりやすいと言えるでしょう。

環境的要因
幼少期や思春期の多感な時期に親との離別や死別、家庭内暴力や虐待、厳格過ぎる躾によるストレスなどの経験がトラウマとなって成長してからパニック発作を引き起こしている。

遺伝的要因
前述の性格的要因が遺伝形質として受け継がれた場合はそのまま全く同じようにパニック障害に罹る過程をたどることになります。

以上の要因が何らかの微妙なメカニズムで脳内ホルモンのバランスを崩しているのではないかと考えられます。

では次に、パニック障害の治療はどのようになされるのでしょうか。

パニック障害の治療法は?

パニック障害の治療は根気を要する長い闘いになりますが、専門医による早期治療により克服が可能です。悪化やうつ病の併発を防ぐためにも早期受診が望まれます。

パニック障害の治療法には薬物治療と心理療法があります。

薬物療法
パニック障害は抗うつ剤による治療が基本になります。半年から1年以上という長期のスパンで治療に当たります。

抗うつ剤の効果が現れるのは2ヶ月を過ぎた辺りからになります。それまでは即効性のある抗不安薬を一緒に服用して発作を抑えます。

抗うつ薬は幸せホルモンと言われるセロトニンの働きを活性化させ、それにより不安感や恐怖感を徐々に取り除いていく治療になります。

心理療法
カウンセリングを主として、発作を起こす原因となっている強い不安感や恐怖感を頭の中に作り出さず、それらをコントロールし、安心感を高めることを目指したメンタルトレーニングを行います。

専門家による適切な観察と指導の下に、この2つの療法を併用しながら治療が進められます。

完全克服には一年以上も掛かるとされますが、一人で抱え込み、苦しんでいたあの激しい不安感や恐怖感は劇的に軽減され、やがて消滅していきます。パニック障害の克服は自己努力のみでは却って悪化させたりします。早期の専門医の受診が早期の克服へと繋がります。

おわりに

パニック障害についてリサーチしていくうちに、ふとノルウェーの画家ムンクの日記の一節が思い浮かびました。それはムンクがノルウェーのフィヨルドの近くの橋の上を友人と歩いていた時のことでした。

ムンクの日記には、

「太陽が沈みかけていた時に橋を歩いていたら突然不安を感じて、そこに立ち尽くしたまま震えていたのでありその時に自然を貫く果てしない叫びを聴いたのだ…」と、

書かれていたそうですが、これなどはパニック発作が疑われるのではと思いました。もしそうだとすればムンクはパニック発作を起こしながらあの名作《叫び》を完成させたのでしょうか。

いずれにしても、こうした症状は時代に関わらず存在していても不思議ではありません。現代においては明確に病として認識され治療法も確立されています。

こうした症状に苦しみ、日々の生活に支障をきたすようでしたら、一人で抱え込まずに「心療内科」か「精神科」への早めの受診をお勧めします。パニック障害は早期治療で克服できるからです。