眠れない時に、すぐに眠りに落ちる方法は無いものでしょう。現代の忙しいストレス社会において、このようなお悩みの人は少なくありません。
今日はこうしたお悩みに答えるべく、眠れない時にとにかくすぐに眠りに落ちる方法はないものか調べてみました。
結果、効果のほどはともかく少なからずの方法が見つかりました。
その中で特に興味深いのは第二次大戦中のアメリカ海軍で用いられたすぐに眠りに落ちる訓練で、極度のストレスと疲労でなかなか眠りにつけない海軍戦闘機パイロットも数分で眠りに落ちるというものでした。
本稿ではこのすぐに眠りに落ちる方法をご紹介するとともに、不眠の心身に及ぼす影響と眠れる環境づくりについて解説していきます。
アメリカ海軍のすぐに眠りに落ちる訓練
ベッドに仰向けに横たわった体勢で、以下のように強くイメージしていき体の力を順々に抜いていきます。
順番としては①顔、②肩、③胸、④腕、⑤足の順番に、体を頭の方から足の方に向けて順番にリラックスさせていきます。一通りの所要時間は2分とされています。強くイメージすることが重要です。
ステップ 1.
顔全体の筋肉を、舌、顎、目の周りの順に部分的に順番に力を抜いていく。おでこや顔中のシワを伸ばすようなイメージ、「顔が溶けていくようなイメージ」を持つことで顔全体がリラックスするそうです。
ステップ 2.
できるだけ肩を落とすようにして首をストレッチさせ緊張を解く。次に片方の腕の上腕部分から前腕部分、指先の順でリラックスさせ、そのあとは反対の腕も同じ方向でリラックスさせる。
コツは腕全体に数秒間、力を入れた後に、徐々に力を抜いていくとすんなりとリラックスした状態になるようです。
ステップ 3.
呼吸をゆっくり繰り返して胸の緊張を解き、肺に空気が満ちていくのをイメージする。
ステップ 4.
最後は下半身のリラックス。ふとももから力を抜いていき、ふくらはぎに移ります。最後は足首と足指の力も抜いていきます。強くイメージすることが大事です。
最終的には体全体が弛緩し、リラックスした状態にすることが目的です。体のリラックスはここまでです。
体全体がリラックスしたところで、次は心の緊張を解きます。それには次のどちらかの情景を強くイメージします。
イメージ 1.
穏やかな湖上でカヌーの上に仰向けになりながらゆったりとした気分でひたすら青い空を眺めている自分。
イメージ 2.
真っ暗な部屋の中で柔らかなハンモックに気持ちよく包まれている自分。
この2つのイメージがどちらもピンと来ない時には、「考えるな」、「考えるな」、「考えるな」のつぶやきを小声で10秒以上繰り返す。
以上がアメリカ海軍で実践されていると言われている睡眠導入法の全体像になります。
訓練の際にはベッドではなく椅子に座った姿勢で行うそうです。足の裏は床につけ、両手は膝の上に置いて緊張をほぐし体を弛緩させた状態でこのイメージ・トレーニングを行います。
こうした体のリラックス方法自体は、ヨガなどでも採用されているごくありふれた方法ですが、座った状態で睡眠に入るイメージ・トレーニングであることに特徴があります。
実践されている方法であることと、実際の検証からほぼ間違いなく不特定多数の人々に効果があるとされていることから今回ご紹介してみました。
眠れない時に、この手順を完全に習得した上で、この方法で必ずやすぐに眠りに落ちるんだとの強い確信を持って気楽に試してみたら如何でしょうか。
不眠の心身に及ぼす影響
次に不眠からくる睡眠不足は心身にどんな影響を及ぼすのでしょうか。不眠と「不眠症」との関係についてもお話します。
不眠の心身に及ぼす影響については以下のことが挙げられます。
●注意力が散漫になる
●集中力の低下
●判断力、思考力の低下
●反応の鈍化
●極度の過敏な反応
●著しい体力の減退
不眠は心身に以上のような影響を及ぼします。不眠の症状が辛く、長く続き、どうにも手に負えない場合には「精神科」か「心療内科」で早期に受診すべきです。
不眠症には大別して以下の形態があります。
●入眠障害 寝つきが悪い
●熟眠障害 ぐっすり眠れない
●中途覚醒 途中で目覚める
●早朝覚醒 朝早く目が覚める
但しこれらの症状があれば直ちに不眠症というわけではなく、あくまでも日常生活に支障をきたすような状況になれば「不眠症」と診断されます。
不眠症はまた眠れるような環境を整えることで改善できます。
眠れる環境づくりとは
不眠症気味の人には睡眠のための環境づくりは重要です。
眠らなければと思ってもなかなか眠れない時は体の体内時計が狂っていることが考えられます。いわゆるサーカディアンリズムのリセットが必要です。
効果的な方法は朝になったら朝日を浴びること、明るい光を室内に差し込ませること。朝日を浴びながらのウォーキングなどは非常に効果的です。しばらく継続することで体内時計が正常に戻ります。
また昼寝の習慣のある場合は1時間以上の昼寝はしないこと。昼間の過剰な睡眠により夜眠れなくなります。
更に就寝の1時間前には意識的に心身を解きほぐし、リラックスして就寝の準備をするようにします。コーヒー類やタバコなどの刺激物の飲食は控え、パソコンやスマホをいじらないようにします。
そして次の日の準備と段取りをきちんと決めておくとすんなりと眠りに落ちるようになります。
おわりに
今回のリサーチではたくさんのすぐに眠りに落ちる方法に出合いました。
ただどの方法においても目標点は同じで、心身共に完全に弛緩させ、思考を停止すること、すなわち体を「無くし」、心を「無」にすることができた時に眠りに入れるというものでした。
ならば「眠らなければ」と思うこと、考えること自体が眠れない原因を作っていることになります。
心身共に「無」の境地になるための方法論はたくさん紹介されています。
それぞれ異なる性格や体質、体調の人が多様な環境や条件下ですぐに眠りに落ちるにはそれぞれの人に最適な独自の方法があるはずです。
普段から意識的に毎日の生活習慣を顧みて、たくさんの入眠方法の中から自己に最適な、すぐに眠りに落ちる方法を見つけ出しておくことが必要です。