2021年1月現在、全世界が死に物狂いでワクチンの製造と確保に奔走しています。ほぼ一年前に始まった中国・武漢発の感染症、新型コロナウイルスは衰えを見せず未だに世界中で猛威を振るっています。
こうした状況の中で「予防接種」とか「ワクチン」というキーワードがしきりに目につきます。
本稿ではワクチンとは一体どんなものなのか、また予防接種とは実際にどのような効果があるのか調べてみました。感染症に対する予防接種の仕組みとワクチンのことについて、簡単にお話していきます。
はじめに感染症の典型例である風邪(普通感冒)が治る仕組みから解説します。
風邪が治る仕組みとは?
風邪はライノウイルスやインフルエンザウイルス、コロナウイルスなど、さまざまなウイルスに感染することから引き起こされる典型的な感染症です。
医師によると、風邪が治るのは風邪薬を飲んだからではなく、ヒトに生来備わっている免疫システムが働くからだそうです。
すなわち、ヒトにはウイルスに感染しても体内でそのウイルスに対する抗体がつくられ、この抗体は侵入したウイルスを攻撃、撃破して無害化する仕組みが備わっています。この仕組みは免疫と呼ばれています。
この時、一度侵入したウイルスへの抗体は免疫システムに記憶され、同種のウイルスが再度侵入しても大きなダメージも無く速やかに排除できる仕組みになっています。
そこで感染症対策としてあらかじめ体内に免疫をつくっておくことが考えられます。これを予防接種といいます。
予防接種とワクチンの意味
予防接種とは自然感染する前にあらかじめヒトの体内に免疫をつくる試みのことであり、この時使用される薬剤をワクチンと言います。
ウイルスにはたくさんの種類があり、それぞれに対して専用のワクチンがつくられます。ウイルスが進化した場合、その進化型のウイルスに対してまた新たなワクチンが必要になります。進化前につくられたワクチンでは免疫効果が期待できません。
予防接種とワクチンの使用は国の承認のもとに行われます。
ではワクチンにはどのような種類があるのでしょうか。
ワクチンの種類
ワクチンはその製造方法により、大別すると生ワクチンと不活化ワクチンがあります。
生ワクチン
ウイルスの毒性を最小化して、病原性をなくした原材料から作り出されるワクチンのこと。自然感染した場合とほぼ同等の免疫力が得られるとされています。
しかし毒性が完全に死滅していないためリスクも存在します。そのため安全性の観点から審査や治験には通常長い期間がかかります。
今回の新型コロナウイルス用ワクチンの予防接種に関しては迅速な対応が求められますが、厚生労働省によると、昨年12月に予防接種法改正案が成立しており、引き続きワクチンの確保ならびに接種体制の準備に取り組んでいくことを公告しています。
不活化ワクチン
ウイルスの毒性を取り去り、そのウイルスから抗体の産生に必要な部分だけを取り出して作られたワクチンのこと。生ワクチンほどリスクはないとしても、効果の持続時間が短いために期間をおいて複数回の接種が必要となります。
なお現在予防接種が認められている破傷風やジフテリア用のワクチン、「トキソイド」もこの分類になります。
次にワクチンの予防接種に関する注意点について考えてみます。
ワクチンの予防接種に関する注意点
ワクチンの予防接種についてはそのメリット、デメリットと共に自身の過去の既往歴なども勘案して対応する必要があります。基本的には以下のような注意点が挙げられます。
- 予防接種により思いがけない副反応が発症することがあり、程度の問題であるとしても特異体質の人は受けてはならない
- 予防接種を受けたからといって必ずしも感染しないとか症状が限定されるということではない
- 予防接種を受けたことからウイルスに対する警戒感が薄れかえって感染したり、感染の拡大を招くリスクが大きくなる
- ワクチンの予防接種は100%無害というわけではない
要するにワクチンの予防接種の効果については、予防接種を受けた方が感染リスクの割合は大きく下がるとしても、実際に蓋を開けてみなければ何とも言えないということが本当のような気がします。
おわりに
今日は予防接種の仕組みとワクチンのことについてリサーチしてみました。
ワクチンはウイルスの毒性を原材料としてつくられる薬剤であり、それを体内に取り込むことにはいささか抵抗感があると思われます。
しかし感染した際、最悪死に至るような重篤な症状と感染の拡大を思うならばワクチンの予防接種も止むを得ない選択肢なのかも知れません。
しかしワクチンの予防接種は国とか企業が国民、あるいは社員に強制的に義務付けることは無理があると考えます。医学的な常識では考えられない特異体質の人もいるからです。
個々人の予防接種を受けたくない自由は尊重されなければなりません。