住民税非課税世帯を対象に1世帯30万円を現金給付……、政府のコロナ救済案とは!

政府は今回のコロナウイルス感染拡大により収入が減少した世帯への緊急救済策として、1世帯あたり30万円の現金給付をすることで大方合意したそうです。

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支給対象は住民税非課税世帯とし、さらに一定の要件のもとに収入が半減するなどの世帯についても対象としました。

支給開始時期は「スピード感」のある「迅速な」支給を目指し、具体的には、今回の現金給付案を盛り込んだ令和2年度補正予算案を来週閣議決定し、早ければ月内にも成立させる方針とのことです。

本稿では、支給対象となる住民税非課税世帯について調べてみました。

はじめに住民税についてできるだけ分かりやすく解説します。

住民税とは

住民税は年間に一定以上の収入のある世帯で、国に徴収される所得税とは別に、毎年道府県民税と市町村民税として徴収されています。

その内容は所得割額と均等割額で成り立っており、前年度の収入に対して課税されます。

所得割額は年間の収入額に応じて決まり、均等割額は一律均等に課税されます。

住民税の計算方法はどこの自治体でも同じですが、自治体によっては均等割額に増減がある場合があります。

次に、住民税非課税世帯とはどのような世帯でしょうか。

住民税非課税世帯とは

住民税非課税世帯とは何らかの事情で年間所得が一定以下となりその年度の住民税が課税されない世帯のことをいいます

住民税には所得割りと均等割りがあることは前項でも触れましたが、それぞれ非課税限度額があります。世帯家族全員がこのどちらも課税されない世帯が住民税非課税世帯となります。

所得金額では以下の世帯が当てはまります。
 

  1. 前年度の合計所得金額が、次の金額以下の世帯

     扶養親族のいる世帯
     【35万円×(控除対象配偶者+扶養親族数+1)+21万円】

     扶養親族のいない世帯
     【35万円】
     
    詳しい計算方法は省略しますが、参考までに以下に東京都居住の場合の住民税非課税となる収入の目安例を年収ベースで挙げます。

    ■独身の会社員の例
    前年度の年収が100万円以下の時には住民税は非課税になります。

    ■夫が会社員、妻が専業主婦の夫婦の例
    前年度の年収が156万円以下の時には住民税は非課税。

    ■夫が会社員、妻が専業主婦、子供1人の3人家族の例
    前年度の年収が205万円以下の時には住民税は非課税。

    ■夫が会社員、妻が専業主婦、子供2人の4人家族の例
    前年度の年収が255万円以下の時には住民税は非課税。

  2.  

  3. 1月1日現在、障害者、未成年者、寡婦(夫)で、前年度の合計所得金額が125万円以下の世帯
  4. 1月1日現在、生活保護法による生活扶助を受けている世帯

 
それではこれらの世帯はすべて今回の緊急救済策の対象となるのでしょうか。この点に触れる前に今回の現金給付案の特徴を挙げます。

現金給付案の特徴

今回の救済案には以下の特徴があります。

コロナ禍による収入の落ち込み
元々はコロナ禍が原因で収入が落ち込んだ世帯への救済策として検討されました。収入の落ち込みはコロナ禍が原因であることがポイントとなっています。

住民税非課税世帯を対象とした
2月以降月収が減り住民税非課税世帯の水準まで年収換算で落ち込むと見込まれる世帯を対象としている。

自己申告制
世帯の減収を証明できる書類の郵送という自己申告制により迅速に救済策を受けられるようにしている。

世帯単位
1世帯の構成人数を2・27人として、生活支援を中心に考慮しており支援は世帯単位にしている。

生活保護受給世帯は対象外
新型コロナの影響でも受給額は変わらないことから。

救済策の早期実現を目指す
できるだけ早期の支給開始を目指し、今回の法案は令和2年度補正予算案として来週閣議決定し、早ければ月内にも成立させたいとしています。
 
これらの特徴を見ますと法案の趣旨がよく理解できるかと思います。その上で救済策の対象者について考えてみます。

緊急救済策の対象者は

今回の救済策の対象者については、法案の趣旨から考えても一律包括的に住民税非課税世帯であればすべての世帯で救済策を受けられるわけではないようです。

例えば、「障害年金」や「遺族が受ける恩給」、「年金」、「雇用保険の失業給付」などは住民税がかかりません。

このような給付を受けており住民税非課税世帯に該当する世帯に受給資格はあるのかどうか気になるところです。

法案の趣旨から判断すると受給資格はなさそうですが、このあたりは法案が成立しなければ分かりません。法案では住民税非課税世帯に当たる生活保護受給世帯は除外しています。

こうした緊急救済策を受けられる世帯の対象はすべての国民が納得する形で明確でなければならず、その上経済波及効果を考えると広範囲である必要があります。

おわりに

各家庭への「マスク2枚の配布」の時などは大きな衝撃を受け、或いはエイプリルフールのジョークかも、と思い直したりもしましたが、この政府でこの先大丈夫なのかと不安になりました。

しかし今回は政府も時宜にかなった思い切った施策を立案したものです。規模についても、政府のやりようによっては大きな経済波及効果が期待できるのではないでしょうか。

アメリカではこれより先3月27日に、コロナ禍対策としておよそ220兆円規模の経済対策案を成立させたところです。

このような世界の動きに触発されたのかも知れませんが、この緊急救済案は一刻も早く成立させ、対象者も経済の波及効果を考えるならば、「限定」ではなく「一律」にすべきと考えます。