紫外線は顔の地肌にどんな影響を及ぼすのでしょうか。
今日は紫外線によって顔にシミができるまでの経緯と対策についてのお話です。はじめに紫外線と顔のシミの関わりから分かりやすくお話していきます。
紫外線はヒトの細胞核内のDNAに影響を及ぼします。そのため紫外線を感知するとDNAをガードするために活性酵素が表皮の基底層に存在するメラノサイトを刺激してメラニン色素が生成されます。
この色素が紫外線の有害な部分を吸収し細胞を保護しながら角質層まで到達して、役目を終えて死滅したケラチノサイトと一緒に代謝されると何の問題も起こりません。
この時、色素が正常に代謝されずに表皮角質層に残留したり、その途中で留まったりする場合にシミとなります。
また紫外線の他に、ホルモンバランスの崩れや遺伝的要因によっても色素斑が発生する場合があり、これらは紫外線の刺激によりさらに悪化します。
つまりシミとは代謝されずに表皮層にとどまった色素斑の残がいということになります。
皮膚の新陳代謝が正常であれば基本的にシミとなることはありません。そのため皮膚のターンオーバーの状態は顔のシミの発生に重大に関わってきます。
皮膚のターンオーバーのことは皮膚の構造を知ることで容易に理解できるかと思います。
皮膚の構造って…?
皮膚とは表皮と真皮と皮下組織の3つの層からできています。
表皮は角質層、顆粒層、有棘層、基底層の4層で構成されており、顔の場合、厚さは0.2~0.3mmあります。殆どがケラチノサイトという角化細胞が占めています。
次に真皮は表皮の7~8倍程度の厚さがありコラーゲン繊維やエラスチン、線維芽細胞などで構成されており、肌にハリや弾力をもたらしており、皮下組織へと繋がっています。
一番外側の表皮は皮脂膜がカバーしており、水分の蒸発を防いだり体温を調節したり、細菌の侵入を阻止したりといったバリヤーの役目を果たしています。
ではどのようにしてシミができるのでしょうか。
顔にシミができるまでの経緯
皮膚が紫外線に晒されると表皮基底層のメラノサイトという色素を作る細胞に存在するチロシナーゼという酵素が活性酸素を吸収し、分解してメラニン色素を発生させます。これはDNAを紫外線からガードしようとする防御反応です。
メラニン色素はそこでケラチノサイトというやはり基底層で発生する細胞内にとどまります。
このケラチノサイトは表皮の奥の基底層で誕生し、分裂、増殖を繰り返しながら次第に表層の角質層側に移動していき最終的には角質層に到達すると死滅してフケや垢になりその役目を終えます。
その誕生から死滅までのサイクルは大体1ヶ月程度で、これが皮膚のターンオーバーと呼ばれているものです。
メラニン色素はこのケラチノサイトの細胞内にとどまって、有害な紫外線をメラニン色素で吸収して細胞核のDNAが破壊されないように紫外線から守ります。
そして角質層で死滅したケラチノサイトと共に垢となって剥がれ落ちるのですが、代謝のリズムが崩れるとメラニン色素の一部がそのまま代謝されずに角質に留まる場合があります。これがシミの正体です。
ここまでが顔にシミができるまでの経緯になります。こうした色素斑は紫外線の他にも、ホルモンバランスの崩れや遺伝的要因によっても発生します。
顔のシミに対する対策
皮膚の新陳代謝機能の衰えやホルモンバランスの崩れがシミの発生要因になるわけですが、対策はどのようにしたら良いのでしょうか。
まず第一に皮膚のターンオーバーを崩さないようにすることが大切です。
次にターンオーバーが崩れる要因を挙げます。
ホルモンバランスの崩れ
ホルモンバランスの崩れの原因を特定させた上で対処すべきです。それが老化から来る場合であれ、生理時のアンバランスに起因する場合であれ、現在では様々な対応が可能です。
特に1980年以来「アンチエイジング医学」は飛躍的に進化しており、医師の指導の下に有効な治療法が確立されています。現在抱えている症状に自身での対応が難しい時には一人で悩まずに専門のクリニックに駆け込むことです。
生活習慣の乱れ
夜更かしや睡眠不足の影響は真っ先に肌に現れます。皮膚組織の新陳代謝は睡眠時に行われるからです。強い意志をもって生活習慣を正し、十分な睡眠時間を確保すべきです。
アンバランスな食事
ホルモンバランスの均衡には日々の食事が大きく影響して来ます。毎日の食事がハンバーガーやフライドポテトなど、ファーストフードに偏っていては健康に良いはずがありません。肌の健全なターンオーバーを維持するには良質のタンパク質を含む栄養バランスの良い食事が基本となります。
ストレス
ストレスが健康に及ぼす影響は想像以上に大きいものがあります。ストレスの起因となる点を冷静に分析し普段からストレスを溜め込まないような心の習慣づくりをすることが重要です。とりわけ症状が重い場合にはカウンセリングを受けるなど専門医に頼ることも必要となります。
以上の点はターンオーバーを崩す要因となりますが、更に忘れてはならない重要なシミ発生の要因に紫外線があります。紫外線対策を万全にしなければなりません。
UV対策を万全にする
シミは長時間皮膚が紫外線に晒されることから発生します。そのため外出時などには適切なUV対策が望まれます。それだけでもシミの発生はかなり防げます。
いずれにしても食事は緑黄色野菜を含めてバランスよく偏らないように摂った上で、毎日欠かさずにビタミンC、ビタミンA、ビタミンB6などを摂取するようにすることです。これらの栄養素は皮膚の代謝促進、コラーゲンの生成、肌荒れ改善などに役立ちます。
あとがき
ホルモンバランスが崩れてシミができるような時には顔のシミの他にも、ひどい肌荒れやにきび、吹き出物など様々な肌の不具合が見られたりします。
それぞれに適切な対策が必要です。また人によってはイライラや倦怠感、或いは躁鬱感など精神面でも不安定になる場合もあります。このような場合にはPMSの症状も視野に入れた上で対処する必要があります。
どうしたらよいか分からない時は専門医に受診することをお勧めします。それにより症状は劇的に改善されます。
顔のシミの予防には普段からの注意深い対策が望まれ、外出時のUVケアはもとより、規則正しい生活習慣、バランスの良い食事と十分な睡眠をとることが大切です。