界面活性剤って何?
界面活性剤は合成界面活性剤とともに衣服や食器用洗剤、シャンプーや洗顔フォーム、ボディーソープなど、ほとんどの洗浄剤の原料として使われています。
「界面活性剤」という語句は更に「毒」「害」「不使用」「危険」などというキーワードと結びつきがあるようです。
何だか怖い言葉のように思います。
界面活性剤の先駆けは紀元前3000年頃に発見された石鹸様の物質でした。当時のメソポタミア文明で既に発見され使われていました。
今日は健康の観点から石鹸と界面活性剤について簡単にまとめてみました。
界面活性剤の主な働き
以下の働きをする成分を界面活性剤といいます。
- 乳化作用
水と油のように本来混ざるはずのない液体を混ざった状態にする。 - 粒子分散作用
粒子の汚れに働いて水と汚れの粒子を分離させる。 - 起泡作用
気泡を発生させ、汚れの粒子を取り込んで包み込む働きがあります。 - 再汚染防止作用
一度分離した汚れを再度付着しないようにします。
こうした働きを持つ石鹸は汚れを落とすための生活必需品として、世界的に広まり使用されてきました。
こうして「界面活性剤」の走りである石鹸は大活躍をしてきたのです。
合成界面活性剤の誕生
古代より使われていた石鹸は脂肪酸ナトリウムや脂肪酸カリウムという天然成分から作られ、
洗浄力が弱まり無くなっても残存物は自然に還元され環境と生き物には何ら影響を与えない優れた発明品でした。
こうした自然界に存在する界面活性剤は「天然界面活性剤」といわれますが、洗浄力はそれほど強くはありませんでした。
そのためこの欠点を解決しようと研究が重ねられ、20世紀に入ると石炭由来や石油由来の界面活性剤の開発が次々に成功しました。
人が石炭や石油などの原料を用いて人工的に手を加えた「合成界面活性剤」はこのような経緯で誕生しました。
これらはこれまでの石鹸より分子は細かく洗浄力は遥かに強力で、しかも低コストで大量生産が可能であり、またたく間に世界中に拡散しました。
しかしこの分子が細かいことと、石鹸に比べて自然への還元性、すなわち生分解性が殆ど無いという特徴が問題を引き起こします。
合成界面活性剤の問題点
合成界面活性剤の世界的な広まりは日本においても、1960年代には合成洗剤の国内生産量はそれまでの石鹸の生産量を上回りました。
しかし次第にその危険性が認識され始めます。
一部の石油系合成界面活性剤に以下のような危険性が指摘されるようになりました。
- 粒子が細かい分汚れは落ちるが、肌に付着しやすく肌荒れを起こす。
- 皮膚を通して体内に吸収されやすく肝臓に蓄積される。
- 肝臓障害やガンの元凶ではないかとの疑念。
- 石鹸のように自然還元性がなく下水処理でも分解、排除できない。
- そのまま河川や海に流れて、環境を汚染する。
ちなみに合成界面活性剤は数千種類もありますが、特に「要注意な合成界面活性剤」は、
- ラウリル硫酸 Na(ナトリウム)
〈マイナスイオン界面活性剤〉 - NPE(ノニルフェノールエトキシレート)
〈合成界面活性剤〉 - ABS(分岐型アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)
〈合成界面活性剤〉 - 上記 NPE や ABS 系列の合成界面活性剤
以上が挙げられます。
このような指摘に対して、業界は問題となる合成界面活性剤の危険性を取り除き更に進化させる方向にありますが、元の石鹸に戻ろうとする声も上がっています。
まとめ
現代では石鹸は界面活性剤の範疇に含まれるという位置づけですが、古代には界面活性剤という言葉がなく石鹸自体が界面活性剤の走りであったと考えます。
この時代、界面活性剤は肌に優しいものでした。
現代では合成界面活性剤は石鹸とは違って低コストで製造できるため、洗顔フォームやシャンプーなどに普通に使われているのが現状です。
植物由来とか弱酸性、或いは中性などという記載に惑わされずに成分表を確かめて本質を見極めることが大切です。