水道水を美味しく飲むには……?

日本は世界の中でも安心して水道水が飲める国です。この水道水をさらに美味しく飲む方法はないものでしょうか。今日はこのあたりを調べてみました。

Tap water

水道水の安全基準と成分

水道水はダムや河川の水、雨や雪という自然界の水を原料に作られています。

これらは汚れを取り払った後に塩素による殺菌、消毒がなされますが、飲料水として安全かどうかは、「水道法第4条」の「水質基準に関する省令」に定められている基準に適合しなければなりません。

水質基準はきめ細かく厳しいものであり、その中の一つ「水質基準項目と基準値(51項目)」では一般細菌はもとより、大腸菌、カドミウムとその化合物、或いは総トリハロメタンなどの基準が規定されており、大腸菌などは検出されないことが適合条件となっています。

更に塩素濃度は0.1mg/L以上保持することが定められています。この塩素のお陰で細菌の繁殖が予防されているのです。

カルキ臭さの原因となっている塩素は水道水を安全に飲むために必要だったわけです。

従って、水道水に含まれる成分としては、水質基準で定められた残留濃度の塩素と若干のミネラル分という事になります。

おいしい水道水とは?

おいしい水道水とはいったいどんな水なのでしょうか?
これにはおもしろい資料があります。

昭和60年に当時の厚生省がおいしい水の要件を審査項目と数値でまとめていたのですが、

それに対して平成25年度の東京都の水質検査結果では、その審査項目の数値をほとんど余裕でクリアしているんです。

ということは当時の東京都の水道水はおいしい水であるわけです。

本稿ではその時のおいしい水の要件となる主な審査項目と数値、そして各項下段に平成25年度の東京都の水質検査結果の平均値を挙げます。

蒸発残留物 30~200mg/L

水が蒸発した後に残るミネラル分のことです。これが適度に含まれているとこくのあるうまい味になり、多すぎると苦味を感じます。

よく水道の蛇口付近に見られる白い結晶です。あれは水道水が乾燥した後のミネラル分です。

東京都水質検査結果平均数値:150mg/L

硬度 10~100mg/L

水の中に含まれるカルシウムとかマグネシウムなどのミネラル分の値のことです。この値は高低で表し、硬度が高ければ「硬水」といいしつこい味になり、低ければ「軟水」といい癖のない味になります。 水道水にもこのような硬度が存在するわけですが、味の好き嫌いは人によります。

東京都水質検査結果平均数値:64.6mg/L

遊離炭酸 3~30mg/L

水に溶けている炭酸ガスの値で、適度な値であればまろやかな味になり、高すぎると刺激が強くなり、美味しさは失われます。

東京都水質検査結果平均数値:2.6mg/L

臭気度(臭気強度) 3以下

カビ臭さなど、臭いの種類は問わず臭いの強さを表す項目です。当然のことですがこの項目で高い値が出ると水はまずくなります。

東京都水質検査結果平均数値:1

残留塩素 0.4mg/L以下

水道水に含まれる塩素のことですが、この濃度が高ければ「カルキ臭」の原因となりまずい水になります。日本においては塩素濃度は0.1mg/L以上は含まれていることが義務付けられています。

東京都水質検査結果平均数値:0.4mg/L

水温 最高20℃以下

水が冷たいとカルキ臭などにおいを感じにくくなり、微妙な味の見分けが困難でおいしく飲むことができます。

東京都水質検査結果平均数値:16.9℃

このような審査項目をクリアするとおいしい水道水になるわけですが、一般家庭で具体的に手を加えられるのは「残留塩素」と「水温」の項目です。

以上のことから水道水を美味しく飲む方法は、

カルキ臭を抜いて冷やして飲むことになります!

カルキ臭を抜くには?

カルキ臭を抜くには十指に余る方法がありますが、

やはり浄水器の使用が最善です!

フィルターの定期交換などでコストは掛かりますが一番良い方法でしょう。煮沸したり、汲み置きしたりなどは水が不味くなり、衛生面でも問題があります。

それでも金魚やめだかなどペットのための水であれば汲み置き水も悪くはありません。

この方法は塩素が抜けるまで時間がかかります。この放置時間についてはペットの命に関わることなので十分安全な放置時間を設定されることです。

ペットの場合急ぎであれば、他にハイポを使う方法もあります。ハイポとは中和剤のことで、10分程度で中和されます。

ハイポはペットショップで入手できます。ただし、ハイポの水はヒトは飲めません。

おわりに

世界一安全な日本の水道水ですが、なんとかおいしく飲みたいものです。

美味しさの一番の障害となっているのは塩素による「カルキ臭」なのですが、その塩素のお陰でいつでも安全に水道水を飲めるのですから容認しないわけにもいきません。

ちなみに東京都水道局では平成25年に利根川水系のすべての浄水場に塩素の代わりにオゾンを使用して水を消毒するオゾン処理施設を導入したそうです。

オゾンの殺菌力は塩素をしのぎ、細菌類には即効性を持ち、脱臭や漂白作用もあり、最終的には無害な酸素に変わります。

塩素を廃しオゾンにより水を消毒しようとする動きは全国的に広まっているそうです。

どうやら、「カルキ臭」を気にせずに冷やすだけで美味しい水道水が飲める時代がすぐそこに迫っているようです。