顔のシミの種類と適切な処置について!

年代を問わず美容上のお悩みのトップを占めているのが「顔のシミ」と言われています。

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顔のシミは皮膚の病変であり、本来ならば皮膚科に駆け込んで適切な処置を受けなければならない健康上の問題でもあります。

特に顔のシミはそばかすとは違い種類によっては悪性であったり炎症を起こすタイプがあり注意が必要です。

処置法にしてもシミの状態や種類によっても違ってきます。そのためシミの種類を正確に特定することは重要です。

今日は顔のシミの種類についてお話し、さらに顔にシミができた時の適切な処置についても触れていきます。

はじめに顔のシミはどのようにして発生するのでしょうか。

顔のシミの発生

皮膚の新陳代謝不良や紫外線の影響など多様な要因により顔や体など、皮膚上にできる皮膚疾患を「斑(はん)」と呼んでいます。シミの発生はここから始まります。

斑は皮膚疾患でみられる皮疹の一種で、初期の段階では皮膚の表面は平坦であり、症状は限局しています。

ここからさまざまな条件が加わることにより、多様な斑に悪化していき、病名も分かれていきます。

「斑」にも種類があり、主に血管の炎症が表皮の色に反映し、その特長的な色により、紅斑(こうはん)、白斑(はくはん)、紫斑(しはん)があり、更にメラニン色素が皮膚に沈着することにより生じる色素斑(しきそはん)などがあります。

一般に顔のシミといわれているものはこの色素斑のうちの代表的な疾患である「老人性色素斑(ろうじんせいしきそはん)」のことを指します。

次に最も出やすいシミの種類についてお話します。

顔のシミの種類

以下にシミの種類を挙げます。シミはそれぞれ特徴があり、適切な処置を施すには正確にシミの種類を特定する必要があります。

老人性色素斑(ろうじんせいしきそはん)

顔や手の甲、背中など日光に当たる部分にできるほぼ円形のシミです。紫外線が関与して発症します。1cm前後の大きさで悪化すると広がったりするのが特徴です。

加齢と共に必ず出現しますが、20代、30代といった若い人にも出ます。

シミの原因はメラニン色素が皮膚に沈着したことによります。色は薄い茶色かこげ茶色で境界ははっきりしており、左右対称性はなくバラバラの位置にできます。

肝斑(かんぱん)

後天性そばかすに似たような症状に、「肝斑」があります。目の下や、ほほ骨のあたりに、もやっと出ます。

特徴はほぼ左右対称に現れ、広がっていくケースもあります。30代、40代の人に多く、高齢者にはほとんど見られません。女性ホルモンに大きく関わっているとも言われています。

後天性そばかすなのか肝斑なのかを正確に見極めた上で対処する必要があります。それぞれ治療法が異なるからです。

肝斑に不用意にレーザー治療を行うと却って悪化する場合があります。肝斑には肝斑の治療法があります。

雀卵斑(じゃくらんはん)

「そばかす」とも呼ばれています。早い人では子供のころから現れます。頬に左右対称に点状に広がるシミの一種です。

思春期特有のホルモンバランスの崩れや遺伝的なものが原因として考えられていますが、20代を過ぎてから発症する、肝斑によく似た「後天性そばかす」もあります。

どちらも炎症を起こすことはなく、ほっておいても問題はありません。

思春期を過ぎると薄くなり大部分は目立たなくなりますが、再発したりもします。老人性色素斑に準じた治療法が考えられます。適切なUVケアと美白ケアが再発予防となります。

炎症後色素沈着

ニキビ跡や傷、やけど、虫刺され、かぶれなどで炎症が起きた後に色素が沈着してシミになった状態です。

ほっておいても自然に目立たなくなりますが、場所的に気になるようでしたら医師の処方によるトレチノイン・ハイドロキノン療法で自宅治療が可能です。

短期間で除去したい時には、レーザートーニングやQスイッチレーザー治療などのレーザーによる治療法が確立しています。

いわゆる「顔のシミ」という症状はここまでが全体の90%を占めると言われています。

これ以外に、以下の症状は特殊なシミであり、良性のものもありますが、どうしても消したいという場合は専門医に受診することになります。

太田母斑、ポートワイン母斑、色素性母斑その他

太田母斑は目の周囲に出る先天性の青ブチのことで、先天性の赤いあざは血管腫の一種、ポートワイン母斑などと呼ばれています。

色素性母斑は黒いあざ、つまりほくろのことです。先天性と後天性があり、ほとんどが良性の病変です。但し、ほくろに似ている悪性のメラノーマは要注意です。

メラノーマ(悪性黒色腫)

ほくろと似ている病変にメラノーマがあります。これはメラノサイトが悪性化したがんの一種です。

一見ほくろ状の症状から始まり、大きさは6~7mm以上、左右非対称、色の境界も濃淡もはっきりしないところに特徴があるとされています。悪性か良性かは専門医による各種の検査で診断されます。

顔のシミの適切な処置とは

前項では最も出やすいシミとして四種類のシミを取り上げましたが、さて、これらのシミに対してどのような処置をしたら良いのでしょうか。

セルフケアにより顔のシミ取り化粧品を使う方法と、専門医に受診する方法があります。

ここで重要な点はシミの種類にそった適切な処置が必要であることです。シミの種類を間違えると効果がないばかりか悪化する場合があります。特に炎症性のシミは要注意です。

セルフケアで顔のシミが取れるのであればこれに越したことはありません。顔のシミ取りを謳っている化粧品は市場にたくさん出回っています。

但し化粧品ではその有効成分が表皮の最外層の、せいぜい角質層までしか浸透しないことは考慮しなければなりません。大部分のシミはその奥の層に滞留しています。ちなみに顔の表皮層の厚さは0.2~0.3mmとされています。

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その上化粧品は医薬品ではありません。有効成分の含有量にも制限があります。そのため化粧品によるシミ取りには限界があります。しかし、それでも表皮の角質層近くまで押し出されている色素に対しては効果が期待できると考えられます。

顔全体にぱらりとできたそばかすなどは、これだけでも全体的な印象としてかなり改善されると思われます。

同時に内服薬により身体の内側からの対処を併行すると、それ以上の悪化予防という観点からは一層効果的です。

最近では、肝斑の特効薬としてトラネキサム酸を主成分とするトランサミンという医薬品なども見つかっています。シミの種類によって服用する医薬品の効果も違ってきますので正確なシミの種類の特定が重要になります。

内服薬の選定や、シミの正確な特定と適切な処置は医師の処方箋と専門的な知識を要求されます。

セルフケアで効果がみられない場合や、どうしたらよいか分からない時には、やはり信頼できる皮膚科や形成外科に駆け込むことをおすすめします。

おわりに

今日は顔のシミの種類についてご紹介して参りました。

シミ取り化粧品を使っても効果がなかったという話はよく聞きます。

結局化粧品でのシミ取りは限定的な効果しか期待できないということです。化粧品でのセルフケアは効果が実感できる範囲で続けるのが無難でしょう。

セルフケアで効果がない場合は即刻中止して、専門医に受診することがシミを取る最短の方法と考えます。