ワクチン接種の闇、混入異物の成分と安全性とは!

デルタ株が猛威を振るう中で、各国は根気強くワクチンの確保と国民への接種を進めています。

そのような状況下で異物混入ワクチンが各地で見つかっています。

異物が混入したワクチンのイメージ画像
政府は異物混入が発覚した時点で当該ロットの使用を中止するなどしていますが、既に接種が行われたケースもあります。

本稿では一連のワクチンの異物混入のケースを整理してご紹介するとともに、混入した異物の成分はどのようなものなのか、安全上の問題はあるのかどうか、ワクチン接種の闇の部分を調べてみました。

はじめに本年8月に発生したモデルナ製ワクチンの異物混入事案から見ていきます。

モデルナ製異物混入例 その1

横浜市内の接種会場で、モデルナ製ワクチンの未開封の容器1本から黒い異物が見つかった。

異物の成分と安全性
このケースについて、ワクチンの国内流通を担う武田薬品工業は、この異物は容器のゴム製のふたの破片であり、製造工程でふたを取り付けた際に混入した可能性が高いとの調査結果を出しています。

厚生労働省も、国内外でごくまれに同様の報告があり、製造工程で混入するゴム栓の破片の可能性が高く、仮に接種に使われたとしても、筋肉注射のため血管に詰まるおそれもなく、ワクチンの安全性や有効性に問題はないという見解を示しています。

モデルナ製異物混入例 その2

モデルナ製ワクチンの一部に金属の粒子状の異物が確認された。

異物の成分と安全性
厚生労働省によると混入した金属片は製造工程で入り込んだとみられ、ごく少量で人工関節やペースメーカーなどにも使用されている物質のため、接種しても健康に重大な影響を与える可能性は低いとしています。

日本ワクチン学会も、混入したステンレスが仮に筋肉へ注入されても全身的な症状を起こす可能性は低く、注射した部位が炎症を起こし腫れる恐れはあるとしても、急性アレルギー反応のアナフィラキシーが起きたり、死亡などの重大な健康被害に繋がる可能性は低いとの見方を示しています。

おおむねその影響について、安全性には問題ないという政府や専門機関の見解でした。しかしこのケースに関しては注意点があります。このワクチンの製造工場と同じ工場で製造された他のロットのワクチンを接種した男性が3名死亡しています。

ワクチン接種の闇

モデルナ製ワクチンの接種を受けた男性がこの8月に合計3名、死亡しています。すべて同一ロットのワクチンの接種を受けていました。これは単なる偶然でしょうか。

このロットからの異物混入の報告は無かったものの、同時期に同一製造工場で作られた別ロットのワクチンからステンレスの粒子が見つかったために、このロットのワクチンの使用も見合わせていたところでした。その数は160万回分ですが、50万回分は既に接種に使用されていました。

このケースの死亡例は副反応によるものか異物が原因なのか、その辺りの因果関係が問題となります。厚生労働省の専門家検討会は9月10日、現時点で「接種との因果関係は評価できない」との見解を示しています。要するに分からないという事のようです。

品質不良の影響が臨床的に解明されるには通常長い期間がかかります。しかしこの因果関係が不明のままでは「ワクチン接種の闇」としていつまでも残ることになります。

この解明のためにも、モデルナ製ワクチンに対しては、継続的に個々の結果や関連データを注視していく必要があります。

ちなみに8月22日までに、モデルナ製ワクチンは1650万回の接種が行われており、接種後の死亡者は17名。欧米に比べて低い数ですが、因果関係が認められた例はありません。

次にファイザー製ワクチンについて見ていきます。

ファイザー製異物混入例 その1

沖縄県の接種現場でワクチンの入ったバイアル(小瓶)などから異物らしき物がみつかった。

異物の成分と安全性
これについてファイザー社からの連絡では、「コアリング」が発生した可能性があるとのことでした。

コアリングとは、横から見ると斜めになっている注射針の先端を、ゴム栓に対して斜めに刺し込むと、注射針のあご部でゴム栓が削り取られる現象をいいます。

ファイザー社によると、異物として見つかる物の9割程度はこのコアリングの可能性があるとのことでした。これはワクチンを注射器に注入する際の人的ミスと考えられます。

前項の厚生労働省の見解にみられるように、異物の成分が微細なゴム栓の破片である場合、仮に接種に使われたところで、筋肉注射のため血管に詰まるおそれもなく、健康上の影響はないとされています。

ファイザー製異物混入例 その2

ワクチンの薬液の入ったバイアル(小瓶)の中に白い微粒子(浮遊物)が混入していた。

異物の成分と安全性
この件につきファイザー株式会社からは要旨として、

白色の微粒子は製品由来の成分であり安全性への影響はない、
希釈し溶解した場合は問題なく使用可能である、
稀に溶解せずに残った場合は使用しない、
これまで、同様の報告で外来性の異物は確認されていない、

との回答がなされています。

健康上の影響はないとのことです。製品由来の成分であれば異物と断定するのは酷かもしれません。

おわりに

今日は、ワクチン接種が拡大していく中で、次々と浮上する異物混入の問題をまとめてみました。

結局安全性に問題はないとのことですが、一部に継続的に注視していく必要のあるケースもありました。

バイオ医薬品業界に求められることは「安全性」と「有効性」であることは言うまでもありません。

ワクチン接種と死亡との因果関係は今後とも徹底的に解明されなければこの先いつまでも「ワクチン接種の闇」として残ることになるでしょう。