今現在、なぜ香川県議会が注目されているの……!

今現在、香川県議会が全国民の注目を浴びています。一体何があったのでしょうか。

parliament-image

それは香川県議会においてある条例が可決されたことから始まります。その条例は法的に有効に香川県議会を通過し成立しました。

本稿では今現在、なぜ香川県議会が注目されているのか、くだんの条例とその問題点について簡単に分かりやすくご紹介していきます。

はじめにどのような経緯でどのような条例が可決されたのでしょうか。

条例可決までの経緯

香川県議会は18歳未満の青少年がネットやゲームへの依存度を高めていることを憂慮し、2019年9月に検討委員会を設置して「ネット・ゲーム依存症対策条例案」を検討していました。

条例案は発表当初から罰則規定はないとしてもゲームやスマホなどの利用時間の制限が具体的に規定されており、行政による一般家庭への介入ということで物議を醸していました。

結局この条例はパブリックコメントなどの反応では県民の八割方の賛成を得たとされており、その後スマホの使用時間や条例の文言などに若干の変更と修正を加えた上で18日の定例議会で発議され、賛成多数で可決されました。4月1日に施行の見通しです。

それではこの条例の内容とはどのようなものなのでしょうか。

条例の内容

香川県議会で成立した「ネット・ゲーム依存症対策条例」の内容は大方以下のようです。

通信事業者やゲーム制作会社に対しては、課金システムなどゲーム依存症を高める恐れのある事業への自主的な規制を求めています。

さらに保護者に対しては、ゲームの利用時間に関して18歳未満は1日60分まで、休日は90分までを上限とし、さらにスマホは中学生と高校生でそれぞれ夜9時と10時以降の使用は控えるなどの時間的なルールを規定し、保護者はこのルールを守らせなければならないというものです。

しかしたとえ罰則規定がないといっても条例は法律に準ずる重さをもつ法規範であり、事業者や保護者に対しては目に見えない圧力となります。

この条例についての違和感

この条例について、その趣旨は理解できるとしても、言いようのない違和感を感じました。

この違和感についてリサーチしていくうちに、それを的確に、さらりと説明している見事な投稿をSNS上で発見しました。以下にご紹介します。
 


 
そうです。あの鳩山由紀夫元総理の投稿です。本来は家庭が決めるべきことに行政が条例という形でここまで一般家庭に踏み込み、介入してくることに大きな違和感を感じたのでした。

行政によるこのような過剰介入は危険な一面を含んでいるからです。

それにしてもこの鳩山元総理の投稿はまさに正論であり称賛に値するものと考えます。

条例の問題点

この条例は憲法が保障する基本的人権の観点からいささか問題があり、更に健全な経済活動という点ではマイナス作用を及ぼす恐れがあります。

まずゲームやスマホの利用上限時間の60分はどこから出てきたものなのか根拠が曖昧であり、加えて一律包括的にスマホの使用時間を制限することから、青少年の「知る権利」に制限を加え、スマホで遊ぶ自由を制約しています。

また通信事業者やゲーム制作業者に対する事業活動の自主的な規制の要請は自由な企業活動を阻害し、「営業の自由」を損ねるものであり憲法が国民に保障する該当規定に抵触する恐れがあります。

結果的に香川県全体の経済活動にも悪影響を及ぼすことになります。

こうした例が他の都道府県にも伝播することになると多くの日本国民に、憲法で保障されている諸々の権利に制約が課されることになり、自由な事業活動にブレーキがかかることからGDPにも大きな影響が出ることになります。

要するにあまりにも議論が不十分な段階で可決、成立されてしまったお粗末な条例という感を否めません。

おわりに

ゲーム依存症はもともと家庭内部の問題であり、これに行政が介入して規律しようとするところに錯誤が感じられます。

この条例は検討委員会まで設置していながら審議の過程で、他に適切な提案が出なかったのでしょうか。

この条例に罰則規定があったとしたらとんでもない問題に発展しますが、仮に罰則規定がないことから条例に従わない家庭が出た場合、この条例の意味が失われます。

このような条例を賛成多数で可決したのは香川県議会であり、議会を構成する議員の一人ひとりは香川県民がそれぞれ投票により自ら選出したものです。

県議会に限らず国会においても同様、議員一人ひとりの議員としての資質が問われます。

議員として一票を投ずる際にはその人物の人間性、識見、それまでの行動などから議員としての資質をじっくりと見定めることが重要と考えます。