日本糖尿病学会と日本糖尿病協会は22日、糖尿病の新たな呼称案を英語名に基づいて「ダイアベティス」(Diabetes)とすると公表した。
多くの患者から病名に不快感や抵抗感があるとのことから、呼称変更を検討しており、今後、患者や医療従事者らからも意見を募るとしています。
正式な病名の変更は、日本医学会や厚生労働省に報告し、行政文書の変更などを求める必要があり、現時点では「呼称案」であり、病名の変更が確定したわけではない。
本稿では病名はその疾患のイメージを形成する重要な要素であり、病名が変更することの意義について考えてみました。
はじめに糖尿病とは如何なる疾患なのでしょうか。
糖尿病とは
糖尿病は、血液中の糖の代謝に障害が生じる慢性的な疾患であり、高血糖症とも呼ばれています。この病気は、膵臓から分泌されるインスリンの働きが低下することから引き起こされ、血糖値が慢性的に上昇します。
結果として心臓病、腎臓病、失明、神経障害などの合併症を引き起こす可能性があり、日常生活に大きな影響を与えることがあります。
なぜ病名変更なのか
糖尿病の病名がダイアベティスに変更される理由は、いくつかあります。まず、病名の変更によって、糖尿病に対するイメージや認識が改善されることが挙げられます。
現在の病名は、病気の原因や症状を十分に表現していないと考えられており、新しい病名の採用によって、より正確なイメージを伝えることができるとされています。
それにより糖尿病に対する社会的な誤解や偏見、差別を減らす効果も期待されます。
過去における病名変更の例
過去における病名変更の例として、例えば痴呆(ちほう)症が認知症、精神分裂病が統合失調症、色盲は色覚異常、さらに高脂血症は脂質異常症などの例が挙げられます。
また、アルツハイマー病は「老人性痴呆症」という病名で知られていましたが、病気の本質をより正確に表現するために「アルツハイマー病」と改名されました。
こうした病名変更によって、疾患の理解と認識が向上し、誤った認識や偏見が排除され、患者やその家族にとっても良い影響がもたらされています。
病名変更の意義
医学の進歩や社会の変化に伴って病名が変更されることは自然の流れであり、病気に対する誤解や偏見を廃し、より正確なイメージや理解が広まることに大きな意義を見いだせます。
また病気に対するこうした正確な認識が広がることにより患者やその家族にとっても精神的な負担が軽減される効果が期待されます。
まとめ
「糖尿病」という旧態依然とした病名が「ダイアベティス」に変更されることになりそうです。
まとめとして、こうした病名変更は疾患に対する差別や偏見が排除され、疾患をより正確に理解しやすい病名となることから、医師と患者や家族間との円滑なコミュニケーションに寄与し、結果的に医療の質的な向上につながることが期待されます。