今日はモラルハラスメントのお話です。
1980年代に、いわゆる「セクハラ」として一世を風靡した言葉、セクシャルハラスメントやその後に現れ、社会の注目を浴びた「パワハラ」という言葉は今や広く職場などで社会的に認知され浸透しています。
しかしモラハラについては数あるハラスメントの中でも、今一つはっきりしたイメージが湧きません。
本稿ではモラルハラスメントの意味と特徴について分かりやすく解説し、実際にモラルハラスメントを受けた際の対処法について考えてみました。
ハラスメントとは
ハラスメントとは集団生活の中で、個人や複数が特定の相手に対して心を傷つけ、不快感や恐怖心をおこさせ、人間としての尊厳を否定するような言動をすることです。
ハラスメントには概ね以下のような言葉が関与してきます。
●暴言、罵声、暴力
●孤立させる、陰口をする
●プライバシーへ関与する
●卑猥な言動をする
●退職勧奨をする
●差別的な扱いをする
この内暴言、罵声、暴力は典型的なパワハラであり、場合によっては刑事事件になります。また卑猥な言動やプライバシー関与などについてはセクハラとして分類されます。
加害者の意図の有無に関わらずに、このような言葉で人の心を傷つけ追い詰めていく行動を一般的にハラスメントといいます。ハラスメントの原因となる言動については極めて多様であり、ハラスメントの種類は40種類を超えます。
モラルハラスメントの意味と特徴
モラルハラスメントは多様なハラスメントの中で特に「倫理」という側面に注目されます。
実際にはモラルハラスメントの意味はセクハラやパワハラの概念を内包します。逆にセクハラやパワハラの中にモラルハラスメントが含まれる場合もあり得ます。
要はハラスメントの種類と悪質さの度合いにより名称も意味合いも異なってきます。
●モラルハラスメントの特徴
パワハラやセクハラは被害者、加害者の関わりが特別な権力関係にある職場などの上下関係において行われるのが普通でした。
一方、モラルハラスメントはそれに加えて職場の同僚社員同士とか生徒同士、或いは夫婦間などの並列的な関係の中で行われるのが特徴であり、通常心理的な暴力や嫌がらせが主体です。
モラルハラスメントの原因は?
どうしてモラルハラスメントを受けるようになったのか、その原因を落ち着いてじっくり考えてみることが重要です。
自分自身がモラルハラスメントの原因を作っていることに気付かずに相手や周囲が一方的に悪いと決めつけているかも知れません。
案外自分自身の普段の何気ない動作や言動が周囲の人に不快感を与えていることが、モラルハラスメントの原因となっている場合があります。
こうした場合には不快感を与えている自分自身の動作なり言動を反省し、修正することで状況の改善が期待できます。
次に相手がそれと気づいていない場合も多くあります。その際には心を傷つけないように、しかし相手の感性の度合いに応じて言葉を選んでそれと教えてあげると良いでしょう。
しかしどう考えても自分に非はないことがはっきりしている時や、相手の明瞭な悪意が読み取れる場合が問題となります。
モラルハラスメントの対処法
モラルハラスメントの兆候が出始めた時点で、相手に対して毅然とした姿勢を見せることが非常に重要です。被害状況が深刻になってから対応するよりは遥かに効果的です。
ズバリ、以下のような覚悟を相手に対して明瞭に示すことです。
●すべて証拠として記録している
●出るべきところに出る用意がある
初動でこのような覚悟を相手にはっきりと示すことで、特に職場の上下関係や並列関係でのモラルハラスメントには効果的であり、案外あっさり解決する場合があります。
しかし夫婦間においてはDVに発展したり、危険な場合もあります。状況をよく勘案した上での行動が必要です。
いずれにしてもいよいよ精神的にも追い詰められ深刻な被害状況になった場合、以下の2つの対処法が考えられます。
労働基準監督署や市区町村の労働局、その他の利用できる社内外の専門部門を活用して問題の解決を図り、最終的にはこうした問題に強い弁護士に依頼して徹底的に明るみに出す方法です。
この方法は資金や時間、安定した精神生活など多くのものが犠牲になります。夫婦間であれば別居や離婚に発展する可能性もあります。
諸条件が許すのであれば、この方法が一番手っ取り早く問題の解決に繋がり、決して敗北や逃避ということにはなりません。精神衛生上も最高の解決策となります。
どちらを選択するかはその人の生き方や信念に関わることになります。周囲からの信頼のおける助言などを考慮してよく思案した上で決断されることです。
対処法は独断で判断しない
モラルハラスメントで深刻な状況に陥った時には、自分一人で抱え込まずに、職場や友達など周囲の信頼のおける人に相談することが必要です。
人によってはうつの状態になり、次第に間違った方向に進んでいく場合があります。対処法を当事者が独断で判断することは危険な一面があります。こうした時に適切な助言をしてくれる人を持つことは大切です。
特に職場の人間関係の場合には第三者の客観的な視点は非常に重要です。周囲の声も聞いた上で対処法を選択すべきです。
おわりに
おわりにある夫婦間のケースでは、ずっと夫から無視され続けてきた夫人がその理由を知りたくて、夫の機嫌を取るのに疲弊して、離婚を考えるほどになった時に、自分自身に対して、
「今すぐ離婚できないなら、すぐに動かなくてもいい、今はまず、自分自身を楽しませることに必死になること!」
と考え方を転換して、美味しいコーヒーを煎れたり、見たいドラマを見たりと、今この瞬間が楽しくなるように過ごしたそうです。
その結果、離婚を決心していたはずでしたが、毎日の気分が楽になり夫も話しかけて来るようになったので離婚の必要も無くなったという話がありました。
ちょっとした発想の転換も問題解決のヒントになるかも知れません。