今回のコロナ禍による経済活動の急速な縮小は、法人はもとより個人事業主にも大きな不安と収入の減少をもたらしました。
感染の拡大を防ごうとの非常事態の発令を受けた営業活動の短縮や外出の自粛要請によりさらに国民の不安は増大しています。
一方、このようなかつてない状況に対応すべく政府や自治体も支援策を発表しています。代表的なものに「特別定額給付金」や「持続化給付金」或いは「コロナ支援金」などのキーワードが目につきます。
収入の落ち込みは給付金で補填して経済活動の停滞を食い止めようとの意図と考えられます。
本稿では政府の提示する支援策にどのようなものがあるのか分かりやすくまとめてみました。
政府の給付金による支援策
この未曽有の事態に政府も手をこまねいているわけではなく、懸命に支援策を案出しています。現在どのような支援策があるのでしょうか。
本稿では現在困窮している人が明日の生活のための手掛かりとなれるような支援策を探してみました。それぞれの要件や申請手続きはリンク先に詳細に記述があります。
●特別定額給付金
一定の要件のもとにすべての人に一律10万円を受給権者である世帯主に支給する制度です。その他の家族や、4月27日以前に誕生した赤ちゃんも対象になります。
対象者のハードルは極めて低いのですが、ホームレスの人やネットカフェ難民など、住民票は回復できても住民票を登録するための住所を持てない人には別途配慮が必要です。
実施主体は各自治体なので各自治体の判断により特例が認められるかどうかが決まります。「全ての人に一律に支給する」という案件の趣旨に沿った判断が期待されます。
●持続化給付金
一定の要件と計算方法のもとに、収入の落ち込んだ事業者に対して、中小法人に最大200万円、個人事業主やフリーランスには最大100万円が支給される制度です。本年創業の事業主も支給の対象となるように現在調整されています。
●給付型奨学金
独立行政法人・日本学生支援機構(JASSO)による、コロナ禍により家計が急変し学業の継続が危ぶまれる状況にある優れた学生に安心して学べるように学資の給付をする制度です。
大学在学中の学生が対象となります。
●雇用調整助成金
雇用調整助成金は、コロナ禍による減産のため従業員を休業させる際に従業員に休業手当を支給した企業にはその手当に要した費用を助成する制度になります。目的は雇用の維持を図ることにあります。
厚生労働省は新型コロナウィルス感染症の影響を受ける事業主を支援するため、4月1日~6月30日の緊急対応期間中は、全国で、全ての業種の事業主を対象に、雇用調整助成金の特例措置を実施するとしています。
●東京都のコロナ禍支援策
東京都は法人及び個人に対してコロナ禍による多様な状況を想定した支援策を整然とまとめています。現在の状況にあった支援制度を探して活用することが望まれます。
また小池都知事は今月7日以降も休業するなど新型コロナウイルス感染拡大防止に協力した事業者へ、追加で「協力金」を給付する方針も示しています。
小気味の好い適切な対応と言えるのではないでしょうか。
●アルバイト学生給付金
今回のコロナ禍によりアルバイトの収入が減少した学生を対象にした支援策で要件を満たした学生には1人につき10万円、そのうち住民税非課税世帯の学生には20万円を給付する制度です。
対象となるのは、大学院生や大学生、それに日本語学校などに通う専門学校生も含まれます。支給対象者は最終的には大学等の学校側で学生からの申請内容により判断し、日本学生支援機構を通じて給付されます。要件のハードルは相当低くなっています。
●緊急小口資金等の特例貸付の実施(生活費の貸付)
厚生労働省では、生活福祉資金貸付制度について、「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、貸付の対象世帯を低所得世帯以外に拡大し、休業や失業等により生活資金でお悩みの方々に向けた、緊急小口資金等の特例貸付を実施します」と公示しています。
●住居確保給付金
この制度は今回のコロナ禍以前から行われている制度ですが、離職等により経済的に困窮し住居を失ったり、賃貸住宅等に居住しながら、住居を失うおそれがある人も支給対象とされています。
「住居を失うおそれ」については、家賃を滞納しているか否かは要件とはされてはいません。家賃の支援に関する支援策。
●無利子・無担保融資(事業資金)
政府のコロナ緊急支援策の一つで、中小企業の資金繰り支援のための緊急融資制度「無利子・無担保融資」の制度が3月17日より開始。実質的に無利子・無担保で融資を受けられる。日本政策金融公庫と沖縄振興開発金融公庫で取り扱う。
フリーランスも含む個人事業者も対象とされています。使いみちは事業者が必要とする設備資金および運転資金とされています。
今回のコロナ禍には、ざっと以上の支援策が見つかりました。次に納付の減免や猶予の支援策について触れてみます。
減免と納付猶予による支援
支払いが困難な時は未納のままにせずに、問い合わせの上、所定の手続きをとることにより減免や納付猶予になる場合があります。
●国民年金保険料の免除・納付猶予制度
日本年金機構では、国民年金第1号の被保険者が、保険料を納めることが困難な状況になった際には未納のままにせず、「国民年金保険料免除・納付猶予制度」の手続きをするように推奨しています。
この手続きにより保険料の免除や納付猶予が承認された場合、その期間は年金の受給資格期間に数えられます。
●社会保険料などの減免、納付猶予
厚生年金保険料や国税、地方税など、新型コロナウイルスの影響で納付することが困難になった場合、申請すれば減免もしくは納付猶予が認められる場合があります。
厚生年金保険料
問い合わせ先 → 最寄りの年金事務所
国民健康保険、後期高齢者医療制度および介護保険の保険料
問い合わせ先 → 各市区町村の国民健康保険組合
●国税や地方税の減免や猶予
税金関係の減免や猶予に関する問い合わせ先は以下の通りです。
所得税や法人税などの国税
問い合わせ先 → 国税庁
住民税などの地方税
問い合わせ先 → 各都道府県や市区町村
●公共料金などの減免や猶予
その他公共料金に関しては基本的に各契約事業者に問い合わせます。
電気・ガス・水道料金
問い合わせ先 → 契約している電気、ガス、水道事業者
以上、各種減免や猶予についてはとりあえずは問い合わせてみることです。
おわりに
今回の新型コロナウイルス感染症はWHOによりCOVID-19と命名されています。COVIDは “Coronavirus disease” の略称で、数字の19は最初にウイルスが発見された年、2019年を表しているそうです。
とんでもない禍が転がり込んだものです。コロナ禍により大きく収入が落ち込んでいる世帯では、とにかく明日からの生活を確保しなければなりません。
本稿でまとめた支援策はすべてではありません。政府も必死に救済の努力をしています。他により良い支援策が見つかるかも知れませんし、これから成立する追加支援策も多数出てきます。
給付金の支給対象者の要件に関してハードルの高低はあるとしても、諦めずにとにかく複数件の申請を試みることが現時点でなすべきことと考えます。