本年は初頭から南アフリカで発生したオミクロン株の感染爆発が懸念されています。
オミクロン株はそれまで凄まじい勢いで世界中を席巻していた新型コロナウイルスのデルタ株よりも数倍も高い感染力を持っていることが判明しています。
このオミクロン株とはどのようなものでしょうか。
本稿ではオミクロン株の正体に触れるとともに風邪のウイルスとどのように違うのか簡単にお話していきます。
オミクロン株の正体とは
オミクロン株は発生場所の南アフリカで、これまで蔓延していた新型コロナウイルスが増殖の過程で変異し、新たな特徴を備えて誕生したウイルスのことをさします。
WHOや各国の研究機関の報告を俯瞰してオミクロン株の正体について触れてみます。
- デルタ株の3倍以上の感染力がある
- 感染しても無症状者が大半である
- 重症者や死者数は著しく少ない
- 2度のワクチン接種者でも感染する
- 特徴的な嗅覚や味覚障害はほぼ見られない
以上が各国研究機関における慎重な表現の中で報告されている共通項になります。これによりオミクロン株の本質は、あの凶暴なデルタ株とは明らかに一線を画していることが分かります。
つまりオミクロン株はワクチン接種者でも感染することから抗体を回避する特徴があり、その感染力はデルタ株を遙かに上回るが毒性はそれほどでもなく、デルタ株のように重篤な肺炎の症状を起こすわけでもなく、陽性判定を受けたところで大抵の場合インフルエンザ程度のダメージで済み、早期に回復に向かうというところがオミクロン株の正体のようです。
感染予防対策は怠るわけにはいかないとしてもオミクロン株が拡散することでパニックになったり深刻に思い悩む必要はないということです。
現在オミクロン株が急拡大している沖縄県での専門家会議(5日)では、オミクロン株感染者の症状について、「感じとしてデルタ株とは別物、インフルエンザに近い症状である」との見方が示されました。
インフルエンザはコロナウイルスと同じく「風邪のウイルス」、インフルエンザウイルスによって引き起こされる感染症です。次項では風邪のウイルスについてお話します。
風邪のウイルスとは?
長い年月、終息と消滅、変異を繰り返しながら人類と共存しているウイルスのことをさします。
主なものに、ライノウイルス、コロナウイルス、アデノウイルス、インフルエンザウイルスなどがあり、感染することで風邪の症状を引き起こします。
この他に風邪を引き起こすウイルスは200種類以上もあるとされています。
コロナウイルスについては、「風邪のウイルス」、「SARS」、「MERS」、そして今回の武漢発の「COVID-19」の4種類が挙げられます。
この中には既に消滅してしまったウイルスもありますが、風邪のウイルスやCOVID-19から派生した複数の変異株ウイルスは現在も活動しているものもあります。オミクロン株もこの中の1つに位置づけられます。
新型コロナウイルス(COVID-19) の特徴は通常の風邪のウイルスに比べて、桁違いに毒性が強く、感染力が高いことにあります。そのために世界的なワクチン接種騒動が起こっているわけです。
ワクチン接種はなぜ必要なのでしょうか。
ヒトの自然免疫システム
ヒトは本来ウイルスに感染しても自然に完治する能力を備えています。ウイルスに感染しても体内で免疫システムが働き、ウイルスに対する抗体がつくられウイルスの毒性を無害化し、完治の方向に進みます。
そしてこの抗体は侵入したウイルスの情報を記憶しており、一定期間免疫ができます。
つまり一度風邪を引いたら、しばらくはその風邪のウイルスに強い体質になり、風邪を引かないというわけです。ただしこうした抗体は時間的経過によって弱まり消滅していきます。
ただし毒性が極めて強いウイルスの場合、ヒトの自然免疫システムでは間に合わないケースがあります。この場合感染による死亡率が高くなります。
こうした状況の対応策として、予め体内にウイルスに対する抗体を作り出すための薬剤を接種することで自然免疫よりも効率的に、より強い抗体を作り出す試みが考えられます。これがワクチン接種になります。
ウイルスは終息するの?
完全に終息するウイルスもあれば、変異を繰り返しながら人類と共存するウイルスも存在します。それは変異の部位や程度によるものかもしれません。
2009年にメキシコに端を発する新型インフルエンザはインフルエンザウイルスが極めて悪質に変異した結果であり、世界に甚大な影響を及ぼしましたが現在は終息しています。
また、今回の武漢発の新型コロナウイルスは、コロナウイルスが凄まじいほどの毒性と感染力を備えて変異したものであり、新型コロナウイルスと呼称されました。
この新型コロナウイルスからは無数の変異株が発生したと思われますが、既に終息しているものもあり、活動中の変異株もあります。各国の研究機関ではウイルスの解析が追いつかないというのが現状かと思われます。
オミクロン株と風邪のウイルスとの違い
結局、オミクロン株とはこれまで人類と共存しているコロナウイルスの一種であり、それが変異してこれまでとは異なる特徴を持ったものになります。
特にオミクロン株の特徴はこれまでのアルファ株、ベータ株、ガンマ株、デルタ株と比較すると、感染率は段違いに高いが、重症化率や死亡率は遙かに低く、陽性判定を受けても無症状者が圧倒的に多いところにあります。その毒性はインフルエンザ程度という見方が大勢を占めています。
新型コロナウイルスが発生した当初からあまりにも重症度や感染率が高いことから、これまで共存してきた、子供から大人まで誰もが感染経験のある「風邪のウイルス」とは別の特別に恐ろしい病原菌のような認識があるかもしれません。
しかしオミクロン株に関しては、確かに変異株なのでこれまで共存してきたウイルスとは別物とは言えるとしても同じウイルスの仲間であることには変わりはありません。
なお「変異株」は「変異種」ではないことは注意しなければなりません。「変異種」は全く別のものが誕生することになります。
おわりに
今年はオミクロン株の爆発的な感染が予想される年になりました。
政府は、今回のオミクロン株の出現により、現在2類に分類されている感染症法上のコロナのランクを引き下げる方向に動いています。これにより急増するオミクロン株感染者に対する融通の利く対応がなされるようになります。
5類ランクまで引き下げられれば、オミクロン株感染者は入院が義務ではなくなり、隔離規制も緩和され、普通の薬局で薬を求め、自宅での療養が可能になります。
こうした措置により医療崩壊や社会インフラの破綻が阻止されます。
現在沖縄では新規感染者の90%がオミクロン株であり、ドイツ、イギリス、米国などもデルタ株からオミクロン株への入れ替わりが急速に進んでいます。
こうした現象から専門家の間では猛威を振るったデルタ株が、通常感冒のインフルエンザレベルの弱毒性のオミクロン株に取って代わられ、やがて消滅していく可能性が指摘されています。