厚生労働省は28日、コロナ感染症で自宅や専用の宿泊施設で療養中の人向けに、重症化の前兆となる緊急性の高い症状についてのチェックリストを発表しました。
自宅療養中の人が容体の急変により自宅や路上などで死亡する事例が相次いだことを受けた措置と思われます。
今回の新型コロナ感染症の特徴は、軽症者においても容体が急変することにあります。
本稿ではまずはじめに、アメリカ疾病予防管理センター(CDC) の発表するコロナ感染症の症状を挙げ、それを踏まえた上で重症化の前兆症状についてかいつまんでご紹介していきます。
新型コロナの症状とは
今回の新型コロナウイルスによりアメリカはこの4月末時点で100万人超の感染者を出し、死者は6万人に迫っています。
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は4月26日、症状について新たな項目を追加しました。これまで公表している症状と合わせると以下の様になります。
- 発熱
- 咳
- 息切れまたは呼吸困難
- 悪寒
- 悪寒による度重なる震え
- 筋肉の痛み
- 頭痛
- 喉の痛み
- 味覚や嗅覚がなくなる
以上がアメリカのCDCにより発表された感染が疑われる症状とされています。このような症状はウイルスに感染してから通常2日~14日で発症するとされています。
このうち「味覚がなくなること」は感染者の体験談からも顕著な症状のようです。普段とても食べられないような辛い料理を平気で完食できたことから自ら異常に気付き、医院に駆け込んだなどの例がありました。
その他「胸痛」や「下痢」の症状を訴える例も少なからず見つかりました。
但し中国の医療現場からの報告として発熱は必ずしも発症するわけではないという報告もあります。これはウイルスの潜伏期間の問題なのかもしれません。
このようなコロナの基本的な症状を踏まえて次項では今回の厚生労働省の発表した重症化の前兆となる緊急性の高い症状を見ていきます。
重症化の前兆症状とは
その内容は13項目あり、本人や家族など周囲の人の視点からチェックできるもので、容体がチェック項目に合致する場合は要注意であり、迅速な救急処置が望まれます。
■本人の自覚症状
- 胸の痛みがある
- 息が荒くなった(呼吸数が多くなった)
- 急に息苦しくなった
- 生活をしていて少し動くと息苦しい
- 横になれない、座らないと息ができない
■周囲の人から見て
- 顔色が明らかに悪い
- 唇が紫色になっている
- いつもと違う、様子がおかしい
- 肩で息をしている
- 突然(2時間以内を目安)ゼーゼーし始めた
- 脈がとぶ、脈のリズムが乱れる感じがする
- ぼんやりしている(反応が弱い)
- もうろうとしている(返事がない)
たとえ陽性判定を受けても軽症者か若しくは無症状者であるため、療養中といっても日常生活にはそれほど支障がでるとは思えないのですが、家族など周囲の介護者は本人の訴えによく注意を払い、客観的には以上のようなチェックポイントを注視する必要があります。
次に時節柄、自らの感染が心配な時にはどのような対応が必要なのかその手順を次項にご紹介します。
感染の有無を検査したい時
感染の有無はPCR検査を通して判断されますが、最初は最寄りの保健所や厚生労働省電話相談窓口、或いはかかりつけの医院などに相談して診断の渡りをつけることが必要です。
厚生労働省ではこの時の相談や受診の目安を公表しています。相談の結果、いよいよ感染が疑われる場合には専用外来を指定されるので、そこではじめて検体を採取しPCR検査へと繋がります。
いきなり外来でPCR検査を申し込んでも一般医院では対応できません。なお現時点では感染者の拡大により、実際に検査が受けられるまでに、最短でも4~5日から1週間もかかる自治体があるようです。
PCR検査とは
コロナウイルスの陽性判定をするPCR検査とは、病原体のDNAサンプルから特定領域を数百万倍から数十億倍に増幅することで病原体の有無を検出する信頼性のある検査方法とされています。
但しその判定は100%正確ではないことは記憶しておかなければなりません。現時点のPCR検査は、検査機関によって判定結果が異なる可能性があり、いわゆる偽陽性や偽陰性のケースが発生する余地があります。
この理由は各検査機関において、使用される機器の性能や試薬の性質、検査時の条件、及び採取した検体に存在するウイルスの量や採取時の条件、更に感染後の経過日数、検査従事者の技術的なレベルなどが総合的に関わってくることによります。
そのため陽性の判定が出ても実際には陰性であったり、逆に陰性の判定でも実際には陽性で、患者が自由に行動する間にウイルスを拡散している場合があります。
おわりに
アメリカは1月21日時点で既にワシントン州で初感染者が確認されていました。
それにもかかわらずこれほどの感染爆発は、初動のアメリカ疾病予防管理センター(CDC)による防疫検査体制に不具合があったこともありますが、アメリカ国民全体の危機感の欠如と国民性によるものかも知れません。
現在においても週末に一部開放されたビーチには大勢の人が繰り出し、各州政府の厳しい外出禁止令に抗議する住民デモは各地で続発し、トランプ大統領自らが「解放しろ」などと煽っているような現状を見るとさもありなんと思わざるを得ません。
現在各研究機関や関連事業者は懸命に検査ツールの開発と製造に取り組んでいます。精密な陽性判定が可能で、尚且つ簡便に行える検査キットの開発と普及が急がれます。