一律10万円給付金は住民票が失効している人も対象なんです!

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先般閣議決定され大きな不評を買った1世帯30万円の限定給付金案に変わって、令和2年4月20日、改めて10万円一律給付金案の概要が「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」として閣議決定されました。

これにより一律10万円給付の対象者が明確に決定されました。特筆すべきは「全ての人に一律に支給する」ことを趣旨としていることです。

これにより身分証を持っていなかったり、住民票が既に失効している人も28日以降でも、新たに住民票の登録をすることで対象になるということです。

本稿ではこの日の総務省発表による新たな「特別定額給付金(仮称)」について分かりやすく、かいつまんで解説します。

支給開始はいつから

今回の給付金の実施主体は市区町村になります。

そのため申請の受付開始日や支給開始日などの具体的な日程は各市区町村の裁量に委ねられています。従って所属する市区町村により給付金の支給開始日に違いが生ずることもあります。

但し、緊急経済対策の趣旨を踏まえ可能な限り迅速な支給開始が求められていることから各自治体の速やかな対応が見込まれます。早ければ5月中旬あたりから支給できる自治体も出てくると思われます。

申請期限は各市町村の申請受付開始日から3か月以内とされています。

支給対象者は

給付金の支給は、「全ての人に一律に支給する」という給付金の趣旨に基づき、国籍を問わず4月27日時点の住民基本台帳に記載されているすべての人が対象になります。

以下の要件に該当する人はすべて給付金支給対象者となります。

  • 令和2年4月27日時点の住民基本台帳に記載されている人
  • 国内に住む日本人
  • 3ヶ月を超える在留資格を持ち住民票登録をしている外国人

明確で分かりやすい支給対象者要件と言えますが、次に様々なケースについてそれぞれ受給資格の有無について調べてみます。

次のようなケースは対象になる?

以下の多様なケースについて支給対象となれるでしょうか。

ホームレスの人

いわゆるホームレスの人やネットカフェ難民など、住民票に記載された住所に住んでいなかったり、住民票の登録が既に失効している場合などでも、4月27日時点で国内に住んでいる場合、28日以降でも住民票の登録を行うことで対象となります。

住民票が失効していても5年以内なら『転出証明に準ずる証明書』を、5年以上経っている場合は『住民票削除の証明書』を最終住民登録地の役所で取得して新住所の転入手続きをする方法があります。

具体的には最終住民登録地の役所に、登録した住所が現在有効かどうかの問い合わせから始めます。いずれにしても身分証が必要となりますが、身分証の有無にかかわらず、現在の状況を説明して「住民票の登録をしたい」ということで相談することです。

相談は役所の「福祉課」かそれに準ずる部署になります。あれこれと聞かれるかも知れませんが、親身に対応してくれます。

このようなケースで最大の難関は住民票登録のできる居所を確保できるかどうかにあります。ネットカフェでは経営者が許可しませんし、自立支援センターなどは定員があり、全員が入所できるわけではなく、かといって公園や河原は住所とは認められません。

一番手っ取り早いのは賃貸で部屋を借りることですがその他に、住み込み先の寮とか、信頼できる身内や知人に協力してもらうとかの手立てが考えられます。懸命に知恵を絞って住居の問題を解決する必要があります。給付金の支給は「住民票台帳に載っている人」が対象であるからです。

こうした状況の人たちを支援しているNPO法人、或いは国や各自治体の生活困窮者自立支援センターへ積極的に相談し、決して諦めずに試みることです。

年金や失業保険受給世帯の人

支給対象となります。また住民税非課税世帯であっても収入による条件はなく支給対象となります。

生活保護受給世帯の人

生活保護受給世帯は普通に受給資格があります。政府は今回の給付金を「収入」とは認定しない方針です。したがって給付を受けたために生活保護費が減額されたり、生活保護を受けられなくなったりすることはありません。

赤ちゃん

4月27日以前に誕生した子どもであれば給付の対象になります。出生届は誕生日から原則14日以内に出すことになっていますが、本年4月27日が誕生日の子どもの届け出が28日以降になっても給付金は受け取ることができます。

外国人

3ヶ月を超える在留資格などを持ち住民票登録をしている外国人は資格があります。但し住民票を持たない短期在留や不法滞在の人は資格外と考えられます。

マイナンバーカードがない人

マイナンバーカードがなくても要件を満たす限り資格があり、手続き上では郵送で申請することが可能です。

4月28日以降に死亡した人

27日までは存命であったが、28日以降に亡くなった人は対象となります。

銀行振込口座がない人

口座を持っていなかったり、住んでいる場所が金融機関から遠く離れている場合は属する市町村の窓口に申請書を提出し、後日給付金を受け取ることができます。

以上のように明確に分かるように、今回の給付案については給付金対象者が定められています。次に申請手続きと申請方法について解説します。

申請手続きとその方法は?

申請手続きは感染リスクを避けるため「郵送」か「オンライン」が推奨されています。おおむね以下のような流れになります。

郵送の場合

まず各世帯の属する市町村から各世帯に申請書が郵送されてきます。

その申請書に世帯主名義の金融機関の口座番号などを記入し、キャッシュカードなど口座を確認できる書類と運転免許証などの本人確認のできる書類のコピーを同封して返送することで申請手続きが完了します。

それにより家族分の給付金が世帯主の口座にまとめて振り込まれることになります。給付金の受給権者は世帯主ということです。

オンラインの場合

マイナンバーカードを持っている場合はオンラインでの申請が可能です。その際には役場で受け取りの際に登録したパスワードの入力が求められます。その上マイナンバーカードに付随している電子証明書の期限が有効でなければなりません。

オンライン申請は内閣府のマイナンバー総合サイト「マイナポータル」上で行います。

マイナポータルを利用するためのアプリケーションソフトウェア「マイナポータルAP」をインストールしてログインし、口座情報を入力します。さらに口座情報を確認できる書類の写真をアップロードすると申請が完了します。申請者本人の確認書類は不要です。

おわりに

今日は異例の予算案組み替え後の「特別定額給付金(仮称)」の概要が決定されましたので分かりやすくまとめてみました。

10万円一律給付案の骨子はこの概要でほぼ決まりと思われます。

前回不評で没になったあの30万円限定給付案と比較すると今回の給付案の特徴は給付金の対象者が実に分かりやすいことにあります。

沈滞した経済活動の中で困窮する国民に僅かながらも明日への希望を持たせるこのような施策は今後も段階的に必要と考えます。