何やら身体に良さそうなイメージの言葉に「タウリン」があります。エナジー・ドリンクなどでよく目にする成分です。
タウリンとは何か、その働きとはどのようなものなのか、さらにタウリンを多く含む食べ物についてまとめてみました。
タウリンとは
タウリンは別名アミノエチルスルホン酸といい、ヒトの体内でタンパク質が分解される過程で生成される物質です。
主に心臓や筋肉に遊離しており、肝臓では胆汁酸と結合した形で存在しており脂肪の消化、分解に大いに働きます。その他腎臓などの臓器や目の網膜、脳や骨髄などにも遊離しています。
通常、体重60kgの人は約60gのタウリンが体内に存在しているとされています。タウリンはカルボキシル基COOHを欠くためアミノ酸とは結合できず、化学的な構造上アミノ酸には分類されません。
タンパク質は分解されるとアミノ酸となり一旦肝臓に貯蔵された後、必要に応じて身体の各組織に送られて再度、数万種類という多様な組成のタンパク質に変身し、皮膚や髪、爪や筋肉などといった身体の構成物質になります。
タウリンはアミノ酸と結合しないため、このように体の各部分を形作ることはありません。これらの生体活動を背後から支援する働きをします。
タウリンの働き
タウリンには弱った肝臓の修復、血圧の安定化、目の保護をはじめ、様々な働きが知られています。以下にタウリンの働きを挙げます。
●肝機能の強化、活性化作用
肝臓の解毒作用を強化、肝細胞の再生促進作用などを含む
●コレステロール値を下げる
胆汁の生成を促す性質があり、その際に大量のコレステロールを材料として使用するため、結果的に消化管内のコレステロール値を下げる。胆汁の主成分は胆汁酸であり、脂肪の消化、吸収を助ける働きをします
●神経伝達物質として働く
タウリンはセロトニンやドーパミン、ノルアドレナリンなどと同様の神経伝達物質であり、神経の興奮状態を鎮める方向に作用する抑制性神経伝達物質です
●白血球などの防御反応から生ずる活性酸素や過酸化水素の抑制
白血球が外敵とみなし攻撃、殺菌する際に放出されるこれらの有害物質を抑制します
●恒常性作用
体温や血圧、体内の水分量など、身体の中の内部環境を、その個体にとって一定の好ましい状態に保持しようとする働きをする
●角膜幹細胞の活性化
視力の衰えや目の疲れを防ぎ、新生児の網膜の発達に関与する。特にビタミンAとの組み合わせで顕著である
次にタウリンが多く含まれる食品を調べてみました。
タウリンが多い食べ物
タウリンは魚介類や、特にイカ、タコなどの軟体動物の体内に遊離した状態で豊富に含まれています。以下に魚介類の100g中に含まれるタウリンのおおよその平均値を挙げます。
サザエや真ダコは可食部100g中に平均して1000mg以上も含まれており、トップグループとなっています。
その次にタウリンを多く含んでいるのがホタテ、やりいか、ミル貝のグループで600mg以上のタウリンを平均値として含んでいます。
●1000mg超級
サザエ、真ダコ
●600mg超級
ホタテ、やりいか、ミル貝
●500mg超級
牡蠣、カツオ、ぶり
●300mg以下
シジミ、はまぐり、あさり、スルメイカ、サバ、サンマ、エビ類
リサーチではサザエと真ダコが断トツで、シジミについてはそれほど多くの含有量は確認できず、スルメイカが案外下位なのが意外でした。
タウリン摂取のポイントについて、タウリンは水溶性なので煮汁まで残さずに頂くようにします。アサリの酒蒸しなどはタウリン摂取には恰好の料理と言えます。
タウリンの1日摂取量
ヒトにおけるタウリンの摂取量目安はおおよそ500mg/日が推奨されています。
ちなみに食事からのタウリン摂取量は1日250mgから350mg程度です。
しかし普通にバランスよく食事をしている限りタウリン不足を心配することはありません。
但し、特にタウリンの効果を実感したい場合にはエナジー・ドリンクで3000mg程度の摂取が適当と思われます。
その効果は前項のタウリンの働きから勘案しますと、体がひどく重くてだるい時、目の疲れが激しい時などには良いかも知れません。
タウリン自体は副作用がなく無害とされていますが、実際に大量のタウリンを準備して検証した人の体験では過剰摂取により吐き気の症状があったという記事がありました。
以下に参考までにタウリンの安全性に関する資料を挙げます。
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/07/dl/s0711-9c.pdf
厚生労働省 資料1-2 PDF
おわりに
今日はタウリンについてまとめてみましたが、猫や犬を飼っているご家庭では注意が必要です。
タウリンはヒトは自ら体内で合成出来ますが、猫はタウリンを合成する酵素を持っていません。そのため猫を飼っているご家庭ではタウリンの補給ということを常に念頭に置かなければなりません。
大抵のキャット・フードにはタウリン含有量が記されているものが多いのですが、こうした理由からかもしれません。できるだけ天然由来のタウリンを、1日必要量摂取させることです。
また犬は自らタウリンを生成出来ますが、ゴールデンレトリバーなど、自己生成量が特に少ない種が存在します。このあたりも注意する必要があります。
猫や犬がタウリンを不足すると心臓系や白内障など目のトラブルが起こりやすくなるようです。どうやらタウリンの不足は筋肉や目に影響を及ぼすようです。