今日はアミノ酸とタンパク質のお話です。
アミノ酸という言葉は普段からよく耳にしますが、タンパク質とどんな関わりがあるのか曖昧でした。この辺りを簡単にまとめてみました。
アミノ酸とタンパク質の関係は?
アミノ酸とは体の中でタンパク質が消化、分解される過程で生成される物質です。
タンパク質が摂取されるとアミノ酸に分解され、いったん肝臓で貯蔵された後必要に応じて各組織に送られ最終的には爪や、髪の毛、皮膚など身体の各部分を構成するために、数万種類の多様なタンパク質に変身します。
アミノ酸同士はペプチド結合という一定のルールに基づき次々と結びつきます。タンパク質とはこのアミノ酸がペプチド結合により数百個以上もつながったものを言います。
従ってアミノ酸はタンパク質であるとも言えるわけですが、一般にアミノ酸が50個以上結合したものをタンパク質といい、それに満たないアミノ酸の結合をペプチドと言います。
アミノ酸は単一の物質ではなく、自然界には500種類以上の天然アミノ酸があります。
そのうちヒトの体の中で活動しているアミノ酸は20種類あります。
この20種類のアミノ酸は体内で必要に応じてそれぞれ活発に合成、結合を繰り返し、体の各組織を形成するタンパク質となります。
しかしそのうち9種類のアミノ酸は体内で合成できません。これを必須アミノ酸といい、食べ物で摂取する必要があります。
以下に必須アミノ酸・9種類の名称を挙げます。
- バリン、ロイシン、イソロイシン
- リジン、スレオニン、メチオニン
- ヒスチジン、フェニールアラニン
- トリプトファン
ちなみに以前は8種類でしたが乳幼児に必須であったヒスチジンが成人にも追加されて現在は成人においては9種類になっています。
その他の11種類のアミノ酸は体内で合成できるアミノ酸で、これを非必須アミノ酸と言います。
- アルギニン、アラニン、グルタミン
- アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリン
- システイン、チロシン、アスパラギン
- グリシン、セリン
これらのアミノ酸は、1806年にアスパラガスからアスパラギンというアミノ酸が発見されたのをはじめとして、1930年代までにはタンパク質を構成するアミノ酸が全て発見されています。
タンパク質とは?
タンパク質はアミノ酸が多数結合してできた高分子化合物です。
タンパク質もまた単一種類が存在しているわけではなく、構成するアミノ酸の数や種類、結合の組み合わせによって種類が異なり、およそ10万種類あると言われています。
主なポイントを繰り返しますと、タンパク質は消化されるとアミノ酸になり一旦肝臓で貯蔵されます。
このアミノ酸はそこから必要に応じて体の各組織に送られ、そこで各組織で必要な形式のタンパク質に形を変えるわけです。
こうして再合成されたタンパク質は、アミノ酸の結合の組み合わせにより皮膚、髪、爪、臓器、筋肉など体の各組織を構成したり、ビタミンやホルモン、酵素の材料に回ったりします。
その他、細菌や異物の侵入時に防衛作用をする抗体などもすべてタンパク質で作られています。
タンパク質と食べ物
タンパク質には肉類や魚介類、乳製品から摂取される動物性タンパク質と、大豆や小麦、野菜など植物由来の植物性タンパク質とがあります。
一般に動物性タンパク質の方が必須アミノ酸がバランスが良く含まれており、吸収率も植物性タンパク質よりは良いとされています。
9種類の必須アミノ酸が全て含まれていると必須アミノ酸のバランスが良いということになります。
このアミノ酸のバランスについては「アミノ酸スコア」という指標を理解しますと分かりやすいかと思います。
アミノ酸スコアとはタンパク質の栄養価を示す指標のことで、一定の計算方法で単純に数値化したものです。
これは食べ物に含まれている必須アミノ酸がどの位満たされているかということで点数を出す方法ですが、100に近いほど理想的なアミノ酸組成とされています。以下に例を挙げます。
※スコア100の食べ物 動物性タンパク質
牛肉、豚肉、鶏肉、馬肉、鮭、カツオ、イワシ、本マグロ、ししゃも、牛乳、卵など
以上の動物性タンパク質群はすべてスコア100であり安定しています。
これに対して以下の植物性タンパク質群は一般に豆類が高い数値であっても、キャベツなどの50代があったり、米や穀物類は点数が低く安定していないことが分かります。
※スコア100に満たない食べ物 植物性タンパク質
納豆:84、大豆:86、枝豆:92、じゃがいも:68、アーモンド:50、ごま:50、キャベツ:50、食パン:45、精白米:65、玄米:68、生うどん:44
まとめ
タンパク質は炭水化物、脂質と共に三大栄養素の一つであり、ヒトの体を構成する極めて重要な栄養素です。
今回はこのタンパク質に、普段よく聞く言葉であるアミノ酸がどのように関わっているのかについてリサーチしてみました。
本稿のまとめとしてタンパク質とアミノ酸は表裏一体の関係にあるということになります。
重要な栄養素であるだけに良質のタンパク質を摂取したいものですが、だからといって「アミノ酸スコア」の低いものを避けるというのも「栄養バランス」の観点からよくありません。
栄養分は三大栄養素を中心として、ビタミン群やミネラル類、および食物繊維など、総合的に摂取することが望まれます。
したがって普段の食事は、良質のタンパク質はもちろん、緑黄色野菜も含めた栄養バランスの良い食事、偏らない食事が大切であり、何よりも美味しく頂くことが健康につながるものと考えます。