デルタ株の意味と症状、及びワクチンの有効性について!

武漢発の新型コロナウイルスは感染が拡大していくなかで、次々と変異を繰り返し終息の兆しが見えません。

メディアでは連日、アルファ株、ベータ株、ガンマ株、デルタ株等々、新しい変異株が紹介されています。これらは突然変異によって誕生したこれまでとは一部異なる特徴を備えたウイルスのことを表します。

ワクチンを点検する女医さん
このうち「デルタ株」は最近とりわけ大きく取り上げられています。

本稿では、デルタ株とは一体どのようなものなのか、その意味と症状、及び「デルタ株」にワクチンは有効なのかどうかについて調べてみました。

はじめに現在確認されている変異株ウイルスのうち主なものをまとめてみます。

変異株の種類

現在WHOは4種類の変異株ウイルスを「懸念される変異株(VOC)」と認定し、それぞれ次のように呼称しています。

  1. アルファ株
    イギリス型変異株ウイルス
  2. ベータ株
    南アフリカで確認された変異株ウイルス
  3. ガンマ株
    ブラジル変異株ウイルス
  4. デルタ株
    インド型変異株ウイルス

武漢発のコロナウイルスは感染の拡大に伴って以上のような毛色の異なる変異株ウイルスを発生させたわけです。

ではこれらの変異株ウイルスのうち特に最近日本で騒がれている「デルタ株」の意味と症状についてお話していきます。

デルタ株ウイルスの意味

デルタ株とはこれまで現れた変異株ウイルスのうちの一つであり、ウイルスの増殖過程で(L452R)の変異が生じたウイルスのことを意味します。最初はインドで確認されたことからインド型と呼ばれていました。

(L452R)の意味はウイルス表面のタンパク質のアミノ酸基のうち452番目がロイシン(L)からアルギニン(R)に突然変異したことを表します。

この結果、米疾病対策センター(CDC)では、水疱瘡(みずぼうそう)と同程度の強い感染力を持つウイルスが出来上がったという分析結果をまとめています。

その感染力について、同センターはデルタ型は1人の感染者が平均8~9人に感染させるとしています。これはイギリス発のアルファ型よりも遙かに強い感染力です。

ちなみに通常の風邪の場合、1人が2.5人程度に感染させるとされており、これまでのコロナウイルスも感染力は通常の風邪と同程度とされています。

気になるのはその症状についてですが、デルタ型に感染した場合どのような症状がでるのでしょうか。

デルタ株ウイルスの症状

デルタ型の症状については、ようやくアルファ型を乗り切ったところにデルタ型が拡散し感染者の8割がデルタ型というイギリスの研究機関が詳しく解説しています。

イギリスの国民保健サービス(NHS)は従来株の典型的な症状として、

 ●発熱
 ●長く続くせき
 ●嗅覚や味覚の異常

を挙げています。

これがアルファ株に変異してからは寒気、食欲減退、頭痛、筋肉痛といった症状が挙げられました。

現在デルタ株が主流になると症状にも変化が見られ、発熱や咳などこれまでの典型的な症状は相変わらず見られるものの「嗅覚や味覚の異常」がそれほど挙げられなくなりました。

イギリスの「Zoe Covid Symptom 研究所」の分かりやすい説明では、デルタ株に感染した若者は「ひどい風邪を引いた」ように感じることがあるとのことです。

また別の研究機関での表現では、特に頭痛や鼻水、喉の痛みを訴えるケースが多く、「普通の風邪をこじらせた」ように感じるそうです。

症状は比較的軽い場合が多く、それだけに単なる夏風邪と思い込まずに、外出を控えるなどして検査を受けるべきでしょう。

デルタ株ウイルスにワクチンは有効?

デルタ株ウイルスにワクチンは有効なのでしょうか。

現在の主なワクチンに、米ファイザー製、米モデルナ製、英アストラゼネカ製、米ジョンソンエンドジョンソン(J & J)製があります。

これら大手製薬会社や各国研究機関のデルタ株ワクチンの有効性に関する多くの分析結果を俯瞰すると、追加接種の有無などにより数値にばらつきはあるものの、従来株は言うまでもなくデルタ株に対してもおおむね高い有効性を保っていると言えるかと思います。

これはデルタ株ウイルスが新種の「変異種」ではなく、種としての同一性を保持している「変異株」であるせいかもしれません。

ワクチンの有効性を高めるには……

英オックスフォード大学などの研究グループによるとファイザー製とアストラゼネカ製のワクチンを1回目と2回目で種類を変えて接種したところ強い有効性が確認されたそうです。

更に追加接種を2回目、3回目と増やすことで有効性が高まる可能性も指摘されています。

なお接種後に血栓症の報告が出たというワクチンもありますが、100万人に対して数人という割合です。この原因がワクチンにあるのか、患者の体質によるのかは微妙なところがあり、個々のケースで精査しなければなりません。

ワクチン接種により重症化や最悪死亡から免れるのであれば、このようなリスクを遙かにしのぐメリットがあると言えます。

変異はなぜ起こるの?

ウイルスはヒトの正常な細胞に侵入して、自らの複製を作り増殖していきます。この時複製を作る過程は決して完璧なものではなく、時折遺伝子の読み間違えや配列の配置ミスが起こります。

このような間違いにより遺伝子情報が一部変化して新たな子孫が作られることがあります。これは突然変異と呼ばれますが、「株」の単位で変異したウイルスは「変異株」、「種」の単位で変異したものは「変異種」とされます。

「変異種」は新種のウイルスの誕生であり、新しいウイルス名が付与されます。当然それまで有効であったワクチンや感染対処策はほぼ無効になります。「変異株」は一定の割合で発生しますが、「変異種」はめったに起こりません。

今回の変異株は元のウイルスの同一種であることに変わりはありません。この意味で「変異種」とは区別する必要があります。

おわりに

デルタ株の特徴は凄まじい感染力にあります。

現在デルタ株ウイルスは従来株に取って代わり、フランス、イギリス、アメリカ、日本を含めて世界中で猛威をふるっています。

中国でもようやく収束の兆しが見えたところに、各地でデルタ株ウイルスの感染が再拡大しています。

フランスでは医療従事者へのワクチン接種を義務づける厳しい罰則を伴う法案が閣議決定され世論が割れています。あまりにも強引すぎる決定と思われます。

特異体質の人も含め、個々人のワクチンを接種しない自由は尊重されるべきと考えます。