低体温症は夏の盛りでも起こるんです!

低体温症は何かの要因で体温が下がった時に発症しやすく、冬などの寒い時期にだけ起こるわけではなく年中いつでも起こる可能性のある油断のならない病変です。

なんと夏の暑い盛りであっても、熱中症と並んで発症リスクは結構高いようです。

夏場に低体温症が起こるケースは、登山時やプール遊びの時など屋外におけるほか、猛暑日のクーラーの直下での睡眠など室内においても起こる危険性はあります。

特に乳幼児や体の不自由なお年寄りのおられるご家庭では室内の温度調整は注意しなければなりません。

本稿では低体温症の症状と対処法について調べてみました。

正常な体温とは?

人は一定の体温を維持して生存している恒温動物です。

この体の温度が体内の代謝やホルモン分泌等の生理作用に最適な温度であり生命を維持できています。

では何度が正常な体温になるのでしょうか。

大体35、36、37度の範囲内に収まっていれば正常と言えるようです。

実は体温は個人差があり一概に固定できず、同じ人でも一日中同じ体温でいる訳でもありません。

ただしいろいろな統計を見ても36度代の人が最も多いです。

低体温症は体温が35度以下に低下すると初期低体温症と診断されるのですが、もともと朝も昼も35度代で何らの病変も無く健康な人もいますので、そのようなケースでは当てはまらないことになります。

ちなみに普通の体温計は34度未満になるとメモリが無く測定できません。

体温の低下要因と症状

低体温症は体温が低下することから起こる様々な病変です。

体温の低下は甲状腺機能低下症や感染症などが考えられますが、一番多いのは以下の直接的な要因です。

  • 海水・プールの水 夏場の海水浴やプールでの遊泳
  • 風・冷風 登山時の風、クーラーなどの冷風
  • 湿度 湿度が低いと汗が乾燥しやすく体熱が奪われる
  • 汗・水分 汗や水分で濡れた衣類は蒸発する時に体から熱を奪う。登山時、運動時、及び試合観戦時など

初期低体温症の一番わかりやすい症例は、猛暑日に夏場のプールなどで見かけますが、唇が紫色になりガタガタ震えているような状態です。

この程度であればタオルをかぶって水に入りさえしなければすぐに回復します。

体の震えは筋肉を緊張させて体の内部に熱を作り出している一種の生体反応です。

更に体温の低下が続くと震えはとまり、動作がぎこちなくなり、反応が鈍くなり問いかけに応答しなくなる。

立っていることができないので、登山であれば風の当たらない場所に退避させ、体を毛布で包むなどして安静に保ち、体力の消耗を防ぎ、熱い飲み物等を与えるなどして体を温めます。

低体温症の対処は基本的には体を内部から温め、体力を温存させることです。

体温が31度を下回るあたりでは筋肉の硬直がはじまり意識も失う状態で、もはや自力回復は困難であり、医療機関への迅速な搬送を試みることです。

あとがき

低体温症は初動に対応を誤ると回復不能となる怖い病気であることと、季節に関わりなく夏の暑い盛りでも起こり得る油断のならない病気であることを再認識しなければなりません。

発症しやすい人は、極度の疲労状態の人、乳幼児、お年寄り、体力のない人、体の不自由な人などです。

屋内、屋外を問わず普段から温度に注意を払い、ご病人がおられる場合には、周囲の人はご本人の表情や様子などによく気を配ることが望まれます。

登山などでは十分計画を練り、万全な装備の下に行動することが必要です。

少し間違えると取り返しがつかない事故となり、普段からのちょっとした配慮や心構えが事故を未然に防ぐことになります。