りんご病は昨年終わり頃から関東や東北で流行りだした感染症の一種です。風疹もそうですが、昨年は感染症が流行った年でしたが、りんご病は年が変わってからも勢いが収まっていません。
この病気に有効なワクチンはありません。その上大人も罹りやすく、子供と大人では症状も違います。
りんご病に感染した場合、特に貧血気味の人や妊娠中の人は注意しなければなりません。
本稿ではりんご病について調べてみました。
りんご病って何?
りんご病とは、「伝染性紅斑」とも呼ばれ、ヒトパルボウイルスB19といういうウイルスに感染することで発病するウイルス性疾患の一つです。風疹と同じく一度罹ると身体に免疫ができて生涯再び罹ることはありません。
感染経路については、飛沫感染や接触感染で罹患します。
感染の特徴は潜伏期間の10日前後の間に、感染したという自覚がないままに周囲に感染が広がることです。したがって家庭内感染が多く認められます。
りんご病の症状
りんご病自体に定まった症状は無く、感染してから10日程度の潜伏期間を経て、頭痛やだるさ、微熱などの症状が出始めます。
その症状は風邪の初期症状に酷似しており、りんご病に罹ったと自覚するのは困難です。
その後1週間位で両頬に赤い広がりのある発疹が出ることからりんご病と呼ばれていますが、この辺りでりんご病の疑いが出ます。
必ずしも両頬に出現するわけでもなく、腕や太ももなど、四肢、体幹に赤い発疹が出たりもします。かゆみを伴う場合もあります。
●大人と子供の症状の違い
大人の症状の特徴として頬の赤い発疹は子供さんほどには現れず、むしろ筋肉痛や関節痛を訴えることが多いようです。
一方子供さんの場合にはそれほど深刻な症状は呈しません。風疹と同様自然に治癒していきます。
この赤い発疹も1週間前後で次第に軽減していき、消滅するのが普通です。この時に患部を掻きむしるなど刺激することで発疹が再燃する場合があります。
●貧血や流産に注意
特筆すべきは貧血気味の人や妊娠中の女性の場合、注意が必要です。ヒトパルボウイルスB19は特に造血系に悪影響を及ぼします。
そのため深刻な貧血症状を引き起こしたり、胎児に感染すると最悪、死産や流産に至ることもあります。
また脳炎や急性肝炎などの重い合併症を引き起こす場合もあることを記憶しておかれることです。子供さんの様子がおかしく、ぐったりしているような時には適切に対処しなければなりません。
りんご病に有効なワクチンはありません!
現状ではヒトパルボウイルスB19に有効なワクチンはなく、その対策も確立されていない状態です。
そのため治療は個々の症状を和らげる対症療法となります。
頭痛や発熱、関節痛などには解熱鎮痛剤、かゆみにはステロイド軟膏の塗布や抗ヒスタミン剤の処方がなされます。貧血体質の人には適切な予防製剤が投与されることになります。
おわりに
りんご病への予防策としては、手洗いの励行、マスクの着用、体調管理など普段からりんご病に感染しないような生活を送ると良いのでしょうが、なかなか難しいものがあります。
特に集団生活の中で子供さんが罹りやすい病のため、保育園や小学校など子供さんと接触する機会の多い人、及び妊娠中の人は普段から十分な注意が必要です。
以下に神戸大学産婦人科発行の、妊娠中の人向けのヒトパルボウイルスB19感染の予防を目的としたパンフレットをご紹介致します。
http://www.med.kobe-u.ac.jp/cmv/pdf/pnf4.pdf