今日は顔のシミを確実に取る方法についてのお話です。
顔のシミは色素片が表皮層に代謝されずに滞留している状態を言います。
顔のシミがシミ取り化粧品で取れない場合、どのような解決策があるのでしょうか。
本稿では顔のシミを確実に取る方法について考えてみました。
化粧品によるシミ取りの限界
シミの種類や程度にもよりますが、化粧品によるシミ取りには限界があります。
顔の皮膚の断面の構成を分かりやすくお話しますと、最外層が表皮と呼ばれておりその厚さは0.2~0.3mmとされています。この厚さの中に角質層、顆粒層、有棘層、基底層という4つの異なる層が存在し、そのうち角質層は無数の極薄の層が重なり合っています。
化粧品の有効成分が浸透するのは表皮のせいぜい角質層までです。それよりも深い層に滞留しているシミには効果は期待できません。
シミの原因となるメラニン色素は表皮の角質層よりも深い基底層に存在するメラノサイトから生成されます。そのため角質層よりも深い部位に代謝されずに留まっているシミには化粧品の有効成分は届きません。
この点が化粧品によるシミ取りの限界になります。
ただし皮膚の新陳代謝とともに表皮の角質層付近まで押し出されているシミについては効果は期待できると考えられます。ぱらりと広がったそばかすなどは角質層近くに留まった色素片を漂白するだけでもかなり全体的な印象が違ってきます。
角質層に滞留した古い色素片を引き剥がすピーリングなどの施術も同様に理解できるかと思います。
このようなシミの原因となる厄介な色素を作り出す理由は、色素を作り出すことによって紫外線の驚異からDNAの損傷を防ぐ必要があるからです。そして古い細胞組織や損壊した組織は「基底層」から外側の「角質層」へと徐々に押し出され最後には役目を終えて「垢」となって剥がれ落ちます。
ヒトの体は、ミクロの世界ではこのような奇跡的な防御作用と新旧細胞の代謝作用が休むことなく営まれています。
顔のシミを取るにはどうすればいいの?
シミを取るにはそれなりの薬効が認められている医薬品を使用します。
例えば強力な美白作用を持つハイドロキノンは日本では規制が緩和され化粧品にも配合できますが、その効果に比例するほど大きな副作用のために、高濃度で配合されているシミ取り化粧品は医薬部外品にもあまり見かけません。
医薬部外品は症状の治療というよりは「防止と予防」を目的に作られているからです。
ここで医薬品と医薬部外品の違いは濃度の違いになります。「薬用」がつく化粧品は医薬部外品のことを意味し、医薬品ではありません。
重要なことはシミの種類を正確に特定することです。それには専門的な知識と経験に基づいた判断が必要です。
特に後天性そばかすと肝斑、老人性色素斑などの区別は専門家でも難しい場合があります。
セルフケアによるシミ取りの大部分が失敗するのは、思い込みによりシミの種類を間違えたこと、効果のない化粧品類に頼ったこと、炎症を起こした際にシミの症状に適切な処置ができなかったことなどが挙げられます。
ご自身で皮膚科系の専門的な知識を持ち合わせていない場合、顔のシミを確実に取る最善の方法は専門家に頼ることになります。
顔のシミを確実に取る方法は……?
現在、顔のシミを確実に取る方法には以下の治療法が確立しています。
とにかく迅速に顔のシミを取りたいのであれば「Qスイッチレーザー治療」、或いは「ピコレーザー治療」によりほぼ満足な結果が得られると思われます。
次に、どうしても自宅療法にしたい時には、「トレチノイン・ハイドロキノン治療」が時間はかかるとしても確実と思われます。それぞれ顔のシミ取りには実績と定評のある鉄板治療法と言えます。
Qスイッチレーザー治療
Qスイッチレーザーは皮膚内部のシミやアザなどの原因となっているメラニン色素のみに反応して破壊します。そのため周囲の正常な皮膚を傷つけることもなく、傷跡を残さずに治療ができることが特徴です。
特にそばかす除去には定評のあるレーザー治療法です。そばかすの程度により一回の照射できれいに除去できる場合もあり、複数回照射が必要な場合もあります。
ちなみにQスイッチレーザーはナノ秒(10億分の1秒)という時間的単位でレーザー光線を照射すると言われています。
細かく破砕された細胞や色素の破片は、ヒトの体内に遊離している白血球の一種、マクロファージという食細胞が綺麗に片付けてくれます。
治療はカウンセリングから始まり希望により表面麻酔を塗布して、Qスイッチレーザーを照射するという流れになります。
施術後は患部を冷やし、軟膏を塗布して保護テープを貼って終了します。1週間以上のダウンタイムが必要になります。
ピコレーザー治療
ピコレーザーによるシミ治療はメラニン色素を細かい粒子にまで破壊し、短期間で顔のシミを除去できることが特徴です。
レーザー光線をピコ秒(1兆分の1秒)という時間的単位で照射する装置で、タトゥーの除去でも有名な治療法です。Qスイッチレーザー療法や他のシミ治療がうまくいかなかった場合にも有効とされています。
治療はカウンセリングから始まりゴーグルを装着しピコレーザー光線を照射します。施術後は患部に軟膏を塗布して終了し、治療後の指導をします。
レーザー治療の費用は保険適用外の自費診療となり照射する範囲により目安として、スポット照射の場合は治療面積1cm2に対して10,000円~15,000円位で加算されます。
レーザートーニングなど広範な照射では両頬で6万~9万円位から、おでこも入れた顔全体で20万円位、加えてその他の費用が掛かります。
トレチノイン・ハイドロキノン治療
トレチノインとハイドロキノンを併用する治療法になります。どちらも強い医薬品で、特にハイドロキノンは劇薬です。使用上の注意点などもあり、必ず医師の処方と指導が必要です。
但し外用するだけの治療なので治療自体は自宅で可能です。通院は1ヶ月間で数日程度の経過観察になります。
ハイドロキノンは美白作用で有名な医薬品、トレチノインは美白に加えて強い皮膚の代謝活性作用があり小じわにも有効とされています。
治療は6ヶ月とか1年単位という長期のスパンで取り組まなければなりません。その間完璧なUV対策と保湿ケアが必要です。
医師の監督の下にこの療法で自宅でのセルフケアが可能であり、時間は掛かってもほぼ満足な結果が得られるとされています。レーザー治療と違いダウンタイムということはありません。
費用は保険適用外の自費診療となり目安は、
トレチノイン(0.05%)5g 1,000円~4,000円位
ハイドロキノン (5%)5g 1,000円~4,000円位
その他、初診料や内服薬などその他の費用が掛かります。
以上が、現在確立されている顔のシミに対する治療法と言えるでしょう。
費用はクリニックにより開きがあり、初診料や再診料、内服薬などその他の費用の点や術後の色素沈着やダウンタイムのことなども含めて事前に十分確認する必要があります。
これらの治療法で共通していることは専門医の受診を受けるということです。
それにより正確にシミの種類が特定され、有効な医薬品の適切な処置を受けられ、顔にできたシミを確実に除去できる可能性が大いに高まります。
まとめ
顔のシミを取るには美白ケアと共に、ビタミンCとトラネキサム酸の内服が効果的などとよく言われたりしますが、これは予防美白の問題であり、顔のシミを消すということではありません。この辺りが誤解されているように思われます。
化粧品メーカーのコマーシャリズムに乗った予防美白では顔のシミを確実に取ることはできません。
本稿の結論としては顔のシミを確実に取るには専門のクリニックに駆け込むことが結局は一番手っ取り早い解決策と考えます。
セルフケアを試み、ハイドロキノンを塗布しても患部が赤くなったりと予期せぬことが起こったりします。
医薬品の使用はそれなりに注意点も多く、専門的な知識を持たない場合、セルフケアは避けるべきです。炎症性のシミですと悪化させる場合もあります。
クリニックの選択は、設備や料金、ダウンタイムのこと、さらにアフターケアなどを勘案して担当医とも話し合い、納得できるところにすべきです。