「乾燥肌」とか「しっとり肌」など、私たちが通常、肌の状態を言う時、角質層の健康状態を指しています。また化粧品の有効成分が浸透するのは、せいぜい表皮の角質層までが限界です。
普段のスキンケアも、皮膚の仕組みと働きについての正しい知識がなければ効果がありません。
コラーゲンくらいは知っていても、エラスチンとかヒアルロン酸のことになるとイマイチはっきり分からない、そもそも皮膚の仕組みってどうなっているの、などと疑問に思うことはないでしょうか。
今日は正しいスキンケアのために、この辺の皮膚の仕組みと働きについて調べてみました。皮膚の仕組みと働きを知ることで一層効果的なスキンケアが可能になります。
はじめに皮膚の構造から分かりやすくお話していきます。
皮膚の構造とは
ヒトの皮膚は外側から順番に、①表皮、②真皮、③皮下組織に分けられます。
顔面を例にとりますと、表皮は厚さ0.2ミリ、真皮で1.2ミリ程度とされ、皮下組織に繋がっていきます。皮下組織は大部分が脂肪で構成されています。通常皮下脂肪と呼ばれているものがこの部分になります。
表皮はさらに4つの層に分類され、外側から順に角質層、顆粒層(かりゅうそう)、有棘層(ゆうきょくそう)、基底層という構造になっています。
厚さわずか0.2ミリの中にこの4つの層が存在し、新陳代謝をはじめとし、防衛や保湿などの重要な働きをしているわけです。
角質層ってどこ?
このうち一番表面側の角質層は20層もの、薄く平らな形状の角質細胞が重なり合い、角質層の最外層は皮脂膜で覆われ、正常時は弱酸性を保ちながら外からの細菌や異物の侵入を阻止し、肌に適度なうるおいを与えています。
角質層はぱっと見て肌の健康状態が一番出やすいところです。部位によって角質細胞の重なりも違ってきます。顔面ですとこれも部位によりますが15~20層位、かかとで50層位と厚くなります。
また化粧品の有効成分が浸透するのはせいぜい表皮の角質層までです。それ以上有効成分を皮膚に浸透させたい時にはそれなりに強い薬効を持つ「医薬品」でなければ効果はありません。「医薬品」には医師の処方箋が必要になります。
真皮層に発生した顔のシミなどの肌の不具合に対して通常の化粧品でいくら懸命にケアをしても効果が出ないのはこうした理由からです。
表皮の大事な働きと新陳代謝
角質層の各細胞間の隙間は NMF と呼ばれる保湿因子やセラミドなどの細胞間脂質で埋め込められており、表皮部分にはこのほか、触覚に関わるメルケル細胞や紫外線防御のために、メラニン色素を生成するメラノサイトなどが存在します。
真皮に接する基底層からは常に新しい角化細胞が作り出され、約1ヶ月の周期で角質層表面まで移動してゆき、最後は死滅して剥がれ落ちます。これは皮膚の新陳代謝又はターンオーバーといわれています。
表皮の最下層、基底層は奥の真皮層へと続いていきます。
真皮の仕組みと働き
真皮は主に肌のハリや弾力に関わっています。
真皮はその7割を占めるコラーゲンから成る膠原線維と、これを束ねて一緒になって肌に弾力を持たせるエラスチンなどの弾力線維が存在します。
コラーゲンやエラスチンの隙間を埋めているのが強力な保水作用をもつヒアルロン酸であり、これらの線維細胞を支えて肌のハリや弾力、そしてうるおいを保っています。
真皮内にはさらに、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸を生成したり分解する役目を持っている繊維芽細胞というものが存在し、真皮をいつも新鮮な状態に保っています。
この繊維芽細胞の機能が衰えると肌の張りが失われしシワやたるみが目立ってきます。
線維芽細胞の衰えの要因は加齢と酸化が考えられます。酸化とは紫外線やストレス、過激な運動、肌の乾燥、食品添加物などによって体内に活性酸素が増大し線維芽細胞を破壊していくことです。
このどちらの場合にも対策が必要ですが、よく聞く「プラセンタサプリ」の経口摂取ではほとんど線維芽細胞の活性化にはつながりません。有効成分が吸収されてそのまま患部に到達するということではないからです。
プラセンタは美容外科にて注射による患部へのピンポイントな注入が有効です。
おわりに
皮膚はざっとこのような仕組みで、各細胞は相互に協力し合い保湿や細菌からの防御、新陳代謝といったそれぞれの役目を果たしています。
そしてこうした皮膚の活動が最も活発になるのが睡眠時です。質の良い十分な睡眠が美容と健康には欠かせないのはこうした理由からです。
皮膚の各細胞は私達が眠っている間も、私達の美容と健康維持のために休むことなく意識的に懸命に働いているわけです。
スキンケアの際にはご自身の皮膚に対して感謝の念を持てましたら幸いです。